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「森林環境税」による間伐事業の現状と課題 ―熊本県を事例として―
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中間ちひろ (九大生資環) 佐藤宣子 |
近年全国で導入が広がっている「森林環境税」は、その事業として、多くの県で、荒廃人工林を対象とした強度間伐事業が設けられている。本研究は、強度間伐事業に取り組み、今年度第1期(5年間)を終える熊本県の「水とみどりの森づくり税」事業を対象に、その成果と課題について考察するものである。調査方法として、2006年に今若らが実施した調査の事例地において、当事業に関連する行政機関で資料収集を行い、事業当初からの経年変化の把握を試みる。特に、温暖化対策などで増加している他の間伐関連事業と森林環境税事業との関連性について分析する。 |
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都道府県における森林の独自ゾーニングと支援策に関する研究〜岐阜県流木被害監視地域設定を事例に〜
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佐藤宣子
(九大院農) |
1990年代以降、地方分権化の中で都道府県による独自施策が展開されている。特に、近年導入が進んでいる「森林環境税」事業では納税者に対して施策目的を説明 し、事業効果を提示することが求められる。施策提案の方法として、注目されるているのが地域独自の森林ゾーニングを行い、ゾーン内森林に対する適切な支援策を講じることである。本報告では、岐阜県が2001年度から実施している流木被害監視地域設定を事例として、地域設定の経緯、設定方法、エリア内森林への支援策、事業実績、市町村と森林組合の対応、森林計画制度への反映について分析することで、都道府県独自ゾーニングとゾーン内の施策展開の効果と課題を考察する。 |
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作業道の維持管理体制に関する研究 〜宮崎県耳川流域の実態〜
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田邊陽一郎 (九大生資環), 佐藤宣子 |
人工林資源が成熟し、木材生産の低コスト化と同時に環境保全のために、災害に強い高密作業道の作設が要請され、開設費に対する補助の充実などが図られているところである。しかし、作業道の維持管理については林道とは異なり、受益住民が担当することが前提とされており、過疎・高齢化の中で、管理不足によって森林荒廃の原因なることが懸念されている。本報告では、1970年代から作業道開設を進め流域内林内路網密度が41m/haに達する宮崎県耳川流域を対象として、@森林施業計画団地代表者のアンケート調査(159団地のうち136団地把握)、Aアンケートで作業道管理出役者が増加または減少の中で新たな対応を行っている6団地に対するインタビュー調査結果から、作業道の維持管理の実態、並びに費用と人的支援面での課題を考察する。 |
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ドイツ、バーデン・ビュルテンベルク州における森林技術者養成・研修制度
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奧山洋一郎 (鹿大農), 香坂 玲, 寺岡行雄, 枚田邦宏 |
高性能林業機械の普及や施業集約化の推進により、新たな森林技術者養成の必要性が高まっている。支援施策として、新規就業者に対しては「緑の雇用」制度による集団・職場研修が実施されているが、現場責任者となる中堅技術者の養成研修は、資格認定と関連した行政・関連団体による研修が主軸である。しかし、今後は技術者自身が将来設計として能力向上を図り、現場で必要となるコスト感覚やリーダーシップ技術等を取得する場が必要である。これら森林技術者の技能向上を支援する制度はどうあるべきか、本報告ではドイツにおける森林技術者養成の仕組みを参考に、今後の方向を議論する。報告の要点は以下である。(1)ドイツにおける技術者の構造(2)技術者養成・研修制度の実態(3)教育機関の質的保証(認証)のあり方 |
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団地化施業における集落共有形態の効用
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大地俊介 (宮大農) |
個人所有者の団地化には、地権者の名寄せや不明境界の画定、所有者間の利害調整等に多大な労力を要する。そのため、面積的な規模とまとまりを有する集落共有形態の林分を中核にして団地を立ち上げる例が多く見られる。本報告では、主に熊本県天草地方を事例として、集落による共有林管理・経営の実態と、その団地化施業における効用について報告する。 |