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風況シミュレーションソフト「RIAM-COMPACT」を用いた風害発生予測手法の汎用性について
谷川直太
(九大生資環),
加治佐 剛,
太田徹志,
溝上展也,
吉田茂二郎
 我が国は台風の常襲地帯に位置しており、その暴風によって全国の林業地域では幹折れ・根曲り等の風害が発生している。将来的には地球温暖化の影響により台風の強度が増す可能性が高く、風害の発生規模が拡大することが予想される。風害リスクを軽減するためには各林業地域で風害発生の危険性が高いエリアを特定し、そこでは木材生産活動を回避するなどといった適切な対処を行うことが求められる。本研究に先立ち、風況シミュレーションソフト「RIAM-COMPACT」を用いて、1991年台風19号の風害発生地域である日田林業地域を対象に風害発生危険性の高いエリアを推定し、実際の被害と比較した。その結果、精度良く風害発生エリアを予測することができていた。そこで本研究では同様の推定・比較を他の風害発生地域である九州電力株式会社社有林(大分県玖珠郡および由布市)について行い、「RIAM-COMPACT」を用いた風害発生エリア予測手法の汎用性について検証を試みた。


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モウソウチクにおける変換係数
井上昭夫
(熊本県大環境共生),
管 秀雄,
坂本晋悟
 モウソウチクにおける変換係数を求めた。稈全体の断面積と稈壁の断面積との関係は、断面積の大小に関わらずy=0.324xという式で表現できた。したがって、稈全体の断面積は0.324を乗じることで、稈壁の断面積に変換される。また、稈材積は稈全体の断面積を高さ方向に積分したものである。よって、断面積の大小に関わらず、稈全体の断面積と稈壁の断面積との比率が一定であるということは、稈材積を実材積に変換するための変換係数も断面積のそれに等しく0.324となることを示唆している。ここで求めた変換係数は、モウソウチク林における蒸散量と二酸化炭素固定量を評価する上で有効である。


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モウソウチクにおける二変数材積式の開発
管 秀雄
(熊本県大環境共生),
井上昭夫
 モウソウチクにおける二変数材積式を開発した。相対稈曲線にKunze式を採用し、異なる2つの相対高における正形数がいずれも安定していると仮定した。各相対高における正形数について変動係数ならびに稈サイズとの相関係数を求めた。相対高0.6と0.9において正形数の変動係数が小さく、稈サイズとの相関もみられなかった。そこで、これら2つの正形数を用いて、材積式のパラメータを決定した。材積式を使って推定した稈材積と現実稈材積との間で、有意な差は見られなかった。


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列状間伐における機械化伐出作業システムの収支試算ソフト作成
河野雄一
(鹿児島県森林技術総合セ)
 高性能林業機械による列状間伐の普及を図るため、鹿児島県では、平成19年度から機械化作業システムのコスト試算が可能なパソコンソフトの開発に取り組んでいる。開発2年目となる平成20年度は、初年度に開発した『功程シミュレーター』の予測結果を基に、列状間伐の機械化作業システムについて、作業経費及び素材収入を試算する『コストシミュレーター』を作成したので紹介する。また、同シミュレーターにより、小型スイングヤーダ、ウィンチ付きバックホウ、プロセッサ、フォワーダを導入した作業システムにおいて、路網密度や事業規模等の現場条件を変化させてシミュレートし、生産性及び採算性がどのように変化するか調査したので報告する。


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タケバイオマス供給におけるタケの伐採範囲について
楢ア康二
(福岡県森技セ),
佐々木重行,
茅島信行,
平野賢一,
村上英人
 当県では平成20年度より「木質バイオマス供給システム開発事業」に取り組んでいる。この事業は、間伐材およびタケを資源とし、これらを燃料化して供給するシステムを開発するものである。この中でタケの伐採からチップ化に関する研究において、タケの伐採・集材に関して得られた知見について報告する。タケの伐採・集材において、作業路から伐採地点が離れるにつれ集材距離が長くなるためその生産性は落ちる。したがって、作業路から遠く離れた地点まで伐採していくにつれコスト高となる。そこで、作業路からどの程度の距離であれば高い生産性を確保できるか調査を行った。