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下刈り省力したスギ植栽試験地における広葉樹・タケ類の侵入
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下園寿秋 (鹿児島県森林技術セ) |
人工林管理において、下刈りは最も労力と費用を要する作業であり、今後皆伐の増加が見込まれる中、伐採後の再造林を図る上でも、下刈り省力は重要である。このようなことから、2000年(平成11年)〜2001年(平成12年)に、大苗植栽、疎植、下刈りの有無等を組み合わせたスギ植栽試験地を造成した。植栽木スギの成長については昨年に報告したが、今回は試験地に侵入した広葉樹、タケ類について毎木調査を行い、除伐について検討したので報告する。 |
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スギ人工林における林冠疎開後の枝の伸長と樹冠の発達
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重永英年 (森林総研九州), 川崎達郎 |
間伐等により林冠を疎開した残存木の枝の伸長と樹冠の発達は、葉量の回復や成長、林冠の再閉鎖に要する期間、林床の光環境の変化等と密接に関係する。本研究では、27年生スギ人工林において、周囲を疎開した個体の樹冠の発達と光環境の3年間の変化を報告する。閉鎖状態では、樹冠長は4m弱、最大樹冠半径は1.5m弱で、樹冠直下の相対光強度は3%以下であった。疎開により樹冠部の相対光強度は20%程度の上昇を示し、樹冠最下部で発生していた枝の枯れが停止した。疎開後3年目には、樹冠長は約5m、最大樹冠半径は約1.8mに増加した。相対光強度が5%程度となるような樹冠内部では、疎開後も枝の枯れが発生した。疎開前に樹冠上部から中部に位置していた一次枝では、疎開により光環境が改善しても伸長量が増加する傾向はみられなかった。 |
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モウソウチク林での伐採季節と伐採幅の違いが竹再生に与える影響
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久米村 明 (鹿大農), 竹内郁雄, 寺岡行雄 |
モウソウチク林は面積が広く、稈が毎年発生して成長が早いこと、さらに放置林が増加していることなどから再生可能な資源として注目され、新たな竹材利用方法が考案されている。しかし、モウソウチクを再生可能資源として持続的に利用するには、伐採後の再生機構に関する情報が必要である。本研究では、鹿児島県さつま町における放置竹林に、伐採が3季節(2005年7月と9月、2006年3月)と伐採幅が3段階(5、10、20m、ただし20mでは9月伐採なし)の帯状伐採地を設定した。伐採後の調査は、発生した稈の発生位置と胸高直径、稈高、枝下高を発生の終了する8〜9月にかけて測定を行った。新稈の発生密度や大きさに及ぼす伐採季節や伐採幅の違い について検討を行った。また、新稈の枝下高や樹冠長の経年変化についても検討を行った。 |
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スギ人工林における強度間伐後の開空度変化と林床植生
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野宮治人 (森林総研九州), 和田誠二, 寺田雄一郎 |
森林の公益的機能の発揮のため人工林を針広混交林へ誘導する技術開発が求められており、九州森林管理局では本城国有林(佐賀署)と田代国有林(宮南署)の22-24年生スギ人工林に渓畔林施業試験地(2003-2022年)を設定した。2004年に切り捨て強度間伐(本数間伐率67-72%)と切り捨て通常間伐(22-40%)を行い、本城国有林では巻枯し強度間伐(73%)も行った。間伐2年後(2006年)から地上高1mでの全天写真撮影と林床植生調査およびスギ毎木調査を行った。切り捨て強度間伐2年後の平均開空度(11-14%)は通常間伐(6-11%)のおよそ2倍であったが、侵入木本が成長するにつれて低下し、2008年には通常間伐と同程度になった。巻枯し間伐では巻枯し個体の枝葉が漸減し、平均開空度は6.6%から7.4%にやや増加した。強度間伐の実施後は光条件の改善にともなって林床植生が発達するが、その後はその林床植生が被圧することとなり、木本種が侵入する機会は間伐直後に集中することが予想された。 |
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スギ人工林における強度間伐後の広葉樹侵入状況
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桑野泰光 (福岡県森技セ), 茅島信行, 楢ア康二, 佐々木重行 |
近年、多様な森林育成が求められている中、手入れ不足または木材生産を期待しない森林のおいて強度の間伐を行うことで広葉樹の侵入を促し、公益的機能の発揮が期待できる針広混交林へと誘導する事業が全国的に行われている。しかし、このような取り組みは始まったばかりであるため、強度間伐が広葉樹の侵入・定着に及ぼす影響について十分な知見は得られていない。本研究では、スギ人工林において強度間伐を実施した林分で広葉樹の侵入状況を調査したのでここで報告する。 |