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大分県におけるエノキタケのキノコバエ被害について
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村上康明
(大分県きのこ研) |
菌床栽培のエノキタケ子実体を食害するキノコバエの問題が発生したので、生態調査を実施し、防除法を検討した。生態調査としては、羽化調査、捕虫網調査、行動の直接観察を実施し、発生舎への侵入経路、行動等を明らかにした。防除法としては、粘着トラップ調査と電撃殺虫器調査等を実施した。羽化調査によって、このキノコバエは野生のエノキタケやヒラタケから羽化すること、子実体からは羽化するが菌床からは羽化しないこと、種としてはトビモンナミキノコバエであることなどがわかった。また、捕虫網調査により、被害の見られる4月には栽培舎周辺に成虫がいることがわかった。成虫は芽出し室の扉の表面で交尾したあと、扉の隙間から中へ侵入していくのが観察された。成虫は主に3〜6月に見られた。防除法としては、侵入遮断、侵入後の粘着紙や電撃殺虫器による捕殺、発生源の除去などが考えられた。粘着紙や電撃殺虫器は特に有効であるとわかった。 |
802 |
ムキタケの簡易施設栽培についてU
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有森由美
(佐賀県林試) |
ムキタケについて、これまで野生菌株の中から菌糸伸長の良好な系統の選抜、空調施設を利用した菌床栽培技術の開発、トリコデルマ属菌に強い耐性を有する菌株、食味優良な菌株の選抜などを行ってきた。また、低コストな栽培技術として、簡易施設栽培技術の開発を行うとともに簡易施設栽培向き品種の選抜を行った。今回はこれまで簡易施設栽培向きの菌株として選抜した2菌株を用いて、培養段階で空調施設を使用しない野外培養の検討を行った。また、ムキタケは集中発生してしまうことが欠点であるためその改善方法として高温処理を検討した。また、武雄市の山内町において、通常菌床シイタケ栽培で用いられる2.5kgポリプロピレン製の栽培袋で簡易施設栽培を開始したのでその栽培結果等を報告する。 |
803 |
暖冬下における中温性品種の栽培方法の検討について
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山下和久
(大分県きのこ研) |
大分県の乾シイタケ栽培ではこれまで低温性品種が多く使われてきたが、近年中温性品種の使用量が増加している。中温性品種は低温性品種と比べて暖冬の影響を受けにくいと考えられるが、春期の急激な気温上昇により発生期間の短縮による収量の減少が懸念されることから、ハウス施設を使用して冬期の発生量の増加について検討を行った。また、ハウスの利用が2年目以降の子実体発生量に与える影響について調査したので、その結果を報告する。 |
804 |
クヌギの利用に関する研究(T)
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河津 渉
(大分林試), 城井秀幸 |
大分県では、原木椎茸生産者の減少などによりクヌギが適期に伐採されず大径化する傾向にあり、材料としての利用方法の開発が望まれている。しかし、大径化したクヌギについての材質デ−タが少ないため、林業試験場内にあった36年生のクヌギ3本、24年生のクヌギ6本を伐採し、番玉毎の動的ヤング係数、含水率、容積密度、年輪幅など基本的な材質について調査を行ったので報告する。 |