809
スギ平角材人工乾燥スケジュールの検討
山口 修
(佐賀県林試)
 佐賀県内の人工林も立木の大径化が進み、梁・桁に使われる平角材の供給ができるようになってきたが、大径材の天然乾燥は1年ほどの長期間を要し、需要があってもそれに即応して乾燥材を供給できない状況にある。そこで、大径材に対応した人工乾燥技術を開発するために平成20年度から平角材の人工乾燥試験に取り組んでおり、最適な人工乾燥スケジュールを検討しているので報告する。


810
バイオマス利用に向けた木材乾燥方法の検討
濱地秀展
(福岡県森林林業技術セ),
吉次昌則,
占部達也
 近年、地球温暖化の防止や循環型社会の形成等を目指して、カーボンニュートラルで再生可能な木質バイオマスの利用が各地で検討されている。本課題では、林地残材の燃料としての利用に向けて、スギ、ヒノキ、タケの各丸太材の天然乾燥を場所、時期、長さ等を変えて行った。目標とする含水率50%(DB)に落ちるまでの経過について報告する。また、 材をチップ化すると屋外での天然乾燥が難しくなることから、キルン式乾燥機を用いた人工乾燥を木チップの含水率を変えて行い、コストを算出した。


811
アコヤガイ貝殻を添加した培地におけるヌメリスギタケの培養試験と栽培試験
上田景子
(福岡県森林林業技術セ),
金子周平,
島 晃,
山口祐士郎
 福岡県の真珠養殖場で毎年発生するアコヤガイ貝殻をヌメリスギタケの菌床栽培培地として用いることを目的に、貝殻を添加した培地を調整し、ヌメリスギタケの培養試験と栽培試験を行った。培養試験では、アコヤガイ貝殻の熱水抽出物および粉砕物をそれぞれPDA培地およびスギ培地(スギ・コーンコブ・コットンハル・米糠)に添加し、菌糸伸長速度を調べることで菌の成長に及ぼす影響を調べた。また栽培試験では、スギ培地(スギ・コーンコブ・コットンハル・米糠)に貝殻粉砕物を全体重の1%、3%、5%、10%添加して、発生したヌメリスギタケの収量、柄数、個重、傘重、柄重を測定、比較した。この試験の結果から、アコヤガイ貝殻の添加効果と最適添加量について考察した。


812
キクラゲ栽培事例と培養特性等について
新田 剛
(宮崎県林業技術セ),
太田原潤一
 現在、キクラゲ類は主に中国などで栽培され、日本には乾燥品が輸入されている。しかし、近年、消費者の食の安全・安心に対する関心の高まりや中国産きのこからの農薬検出等の問題から、国産品への需要が高まっており、宮崎県内でも数件の生産者が栽培を行っている事例がある。そこで、県内で栽培に使用されている市販種菌等の培養特性を調査するとともに、キクラゲ類は高い温度帯で栽培するため害菌が付着しやすいと考えられることから、種菌毎のトリコデルマ属菌耐性を明らかにするため対峙培養試験を行ったので、それらの結果を報告する。