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ニホンジカ被害軽減のための低コスト防護柵の開発
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釜 稔 (九州局技セ), 山形 克明 |
九州の脊梁地帯の中山間地域においては、近年、ニホンジカの生息数の増加や分布域の拡大により農林作物への被害が深刻化している。特に林業関係のほとんどの被害は、スギ・ヒノキ造林木の食害、角こすりによる立木剥皮である。この被害防止対策としては、国有林・民有林ともに防鹿柵等の設置がなされているが、これらは労力的・経費的にも林業関係者・関係機関にとって大きな負担となっている。このため、森林技術センターでは、複層林誘導伐実行箇所において末木枝条等を利用した「ニホンジカ被害軽減のための低コスト防護柵の開発」に取り組んでおり、これまでの経過について発表する。 |
312 | シカはいつ加害するのか? −再造林地における食害の季節性と出没時間帯− |
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野宮治人
(森林総研) 矢部恒晶 |
近年はシカによる林業被害が増加し、シカ分布域での植栽にはシカ柵の設置が一般的になってきた。しかし林業経営が厳しい中でのシカ柵設置は負担が大きい。演者らはシカ柵によらない食害軽減のため、下刈り省略という手法を検討中である。まずは基本情報として、シカが再造林地で植栽木を食害する季節や出没する時間帯について報告する。2009年(熊本県球磨村、標高600m)と2010年(宮崎県椎葉村、標高1070m)にスギ苗を植栽して食痕を毎月確認した。球磨村では夏から秋、椎葉村では冬期に食害のピークが認められた。一方、シカの出没パタンを把握するためセンサーカメラを設置したが、再造林地では直射日光の影響で日中に誤作動が頻発して長期間の観察が困難であった。日中の観察には、一定間隔で撮影を続けるTime-Lapsカメラが有効である。シカが再造林地へ出没するのは夜間が中心で、19-21時と1-3時にピークが認められた。 |