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佐賀県におけるスギ集団葉枯れ症の発生状況
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宮崎潤二
(佐賀県林試), 真崎修一 |
近年、九州のいくつかの県において、スギの集団葉枯れ症とみられる林分の衰退現象が報告されている。この症状は単年では終息せず繰り返し発生するといわれており、将来的には立木の成長や材質にも悪影響が及ぶ懸念があるが、佐賀県においては、県北部の一部での報告以外は調査事例がほとんどなく、佐賀県内(特に県西南部)における発生状況はわかっていなかった。そこで今回、県西南部を中心に本症状の発生状況を調査したので報告する。 |
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福岡県内におけるホルトノキ萎黄病の発生状況
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楢ア康二
(福岡県森林技セ) |
ホルトノキ萎黄病は病原微生物のファイトプラズマの感染に起因し、葉の小型化や黄化、枝枯れ等の衰退症状等を示す病害である。福岡県においてホルトノキは街路樹や公園木として広く植栽されているが、特に街路樹の衰退が県内で目立ち、一部ではファイトプラズマの感染を確認している。そこで、本研究ではホルトノキのDNA分析により、福岡県内全域のホルトノキ萎黄病の発生状況について調査を行った。 |
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マツ針葉から分離されたLophodermium pinastriの対峙培養
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畑 邦彦
(鹿大農), 中島彩夏, 田中拓也, 曽根晃一 |
マツ葉ふるい病菌Lophodermium pinastriが異なる菌株間での体細胞不和合性を有しているか検討した。クロマツ針葉より分離された菌株を用いて、まずは通常の対峙培養を行った。菌株は2cm離して2%麦芽エキス寒天培地上に接種し、25℃の暗所で培養後、コロニー融合の有無を確認した。その結果、同じ菌株同士では52試行中16回でコロニーが融合し、残りは接触せずに成長が停止した。異なる菌株の場合、コロニー接触後成長が停止したものが76試行中2回、残りは全て接触せずに成長が停止した。菌株接触前に成長が止まる例が大多数だったため、次に菌株を初めから接触させた状態で対峙培養を行った。その結果、同じ菌株同士は180試行全てでコロニーが融合し、異なる菌株では603試行中重複分離と思われる4組12回以外は融合しなかった。以上より、本菌は異なる菌株間で体細胞不和合性を有していると考えられた。 |
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マツ生葉および落葉から分離された菌のバーベンダム反応
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滝下裕己
(鹿大農), 曽根晃一, 畑 邦彦 |
これまで落葉中のリグニン分解は主として落葉後に侵入する担子菌系の白色腐朽菌によって行われると考えられてきたが、落葉前や落葉初期から侵入することがある子嚢菌や子嚢菌系の不完全菌もリグニン分解に関与しているということが近年明らかになりつつある。しかし、これら菌のもつリグニン分解能力やリター分解との関係についての研究は一部の菌でしか行われていない。そこで、マツ生葉および落葉初期に生息する菌を用いてバーベンダム反応試験を行い、リグニン分解酵素の確認を行った。その結果、実験に用いたマツ生葉および落葉初期に生息する子嚢菌や子嚢菌系の不完全菌全てが、完全もしくは部分的にリグニン分解へ関与している可能性が示唆された。 |