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シイタケオオヒロズコガ類成虫のLED照明器具による誘引捕殺試験2
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村上康明
(大分きのこ) |
大分県では生シイタケ生産地を中心に全県下でシイタケオオヒロズコガ類の被害が発生している。この蛾は幼虫がほだ木内に生息して食害し、特に成型駒を用いた栽培体系の場合には発生量が激減し、重大な被害となる。また、シイタケに入った幼虫は、異物混入として問題になる。演者は、昨年の本大会においてLED捕虫器具(LEDキャッチャー)をほだ場にセットすることによって成虫を安定して捕獲できることを報告した。しかしやや効率が低いと考えられ、また、雌雄の判別の問題も残されていた。本年はこれらの問題を解決するために、多数の捕虫器具をセットした場所で設置箇所別、高さ別の誘引捕殺個体数を調査し、さらに捕獲された雌雄の判別を行なった。その結果、設置場所によってかなり効率が高くなり、また、雌雄ほぼ同数が捕獲されることが明らかになった。捕獲された雌の多くはシート上に産卵しており、次世代幼虫の出現を減少させる効果が確認された。 |
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産業用X線CT装置によるシイタケ子実体原基の確認
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石井秀之
(大分きのこ), 甲斐 充, 高橋芳郎, 清水慎吾 |
シイタケほだ木内における原基形成から子実体への生長過程の非破壊調査による確認の可能性を検討するために、産業用X線CT装置を用いてほだ木の断面画像を撮影し調査を行った。その結果、160kV40μAの低い出力で子実体原基とみられる画像が得られることが判明した。得られた原基様画像について剥皮調査による目視の判定結果と照合すると、原基と確認できた割合は10〜30%程度と低かったが、目視で確認された原基は全て画像で確認できていた。また、秋期からの子実体発生時期における経過観察の結果では、原基の形成過程や子実体への状態変化の詳細は不明であったが、原基から子実体への状態変化は急激であり、短い間隔での調査が必要なことが明らかとなった。 |
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アラゲキクラゲ栽培
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関谷 敦
(森林総研九州) |
平成21年のキクラゲ類の自給率(重量ベース)は3%であり、今後国内生産量は増加すると考えられるが、国内の栽培技術に関する報告は少なく、栽培技術は確立していない。今回、市販のアラゲキクラゲ3品種を使用して、空調施設による袋栽培を行った。培地組成はブナおがこ:ふすま=3:1(乾燥重量比)で含水率65%に調製後、筒状の栽培袋に培地を500g、750g又は1kg詰め、滅菌放冷後、前述の品種を接種し、培養した。培養後、栽培袋に切れ目を入れ、袋を縦に吊して温度20℃、湿度100%の明所で子実体発生を行った。切れ目の入れ方は、縦に5cmあるいは7cm間隔およびらせん状とした。栽培試験の結果、次のことが明らかになった。初回発生の時期は培地重量が大きいほど早く、品種により発生時期が異なった。収穫量は品種、培地重量により異なったが、培地1kg当りの収穫量は、どの品種でも1kg培地が一番多かった。子実体の形状は品種により異なった。 |