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抵抗性クロマツを用いたマツノザイセンチュウの病原力の選抜実験 −1年間の選抜後の結果−
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松永孝治
(森林総研 林育セ九州), 大平峰子, 倉本哲嗣, 倉原雄二, 武津英太郎, 千吉良 治, 高橋 誠 |
抵抗性クロマツがマツノザイセンチュウの病原力に及ぼす影響を検討するため,抵抗性クロマツおよび精英樹クロマツに由来するさし木クローンを用いて線虫の病原力の選抜実験を行った。マツノザイセンチュウアイソレイト(島原,S10,T4,OK169)をさし木苗に接種し,その枯死木から再分離した線虫アイソレイトを培養して抵抗性クロマツ波方37open家系に接種した。抵抗性および精英樹のさし木から再分離したアイソレイトはそれぞれ52%と41-52%の苗を枯死させた。1年間の線虫の病原力の選抜実験では用いたクロマツの抵抗性の違いが線虫の病原力に影響をしない場合があると考えられた。 |
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スギ2年生個体を用いた材質の早期評価の可能性
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倉原雄二 (森林総研 林育セ九州), 松永孝治 |
材質の早期評価を目的としてスギ(Cryptmeria japonica )2年生個体を用いて材質形質の評価を試みた。2011 年3月に九州育種場内に植栽されたスギ個体の応力波伝播速度をFAKOPPを用いて測定した。測定箇所は地上高15cmと65cm間の距離50cmとした。測定後,応力波伝播速度を測定した部位を切り取り,タッピング法でヤング率を測定した。分散分析の結果,応力波伝播速度,樹高,地上高15cmの直径はクローン間に1%水準で有意差が認められた。また,応力波伝播速度とタッピング法で測定したヤング率には有意な正の相関があった。このことから,スギ2年生個体で応力波伝播速度を指標としてヤング率を推定することが可能であることが示唆された。 |
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西表島に植栽したEucalyptus camaldulensis Dehnh.の 植栽50ヶ月目までの成長と生存率の系統間差
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千吉良 治 (森林総研 林育セ九州), M本 光 |
造林樹種として世界的に広く導入されているEucalyptus camaldulensis Dehnh.について、沖縄県西表島に種子産 地の明らかな27系統を植栽し、植栽50ヶ月目までの成長と生存率を調べ た。植栽後19ヶ月目と50ヶ月目の樹高と直径は系統間に1%水準の有意差が認めら れ、植栽50ヶ月目の樹高の系統毎の最小二乗推定値は、2.2mから5.9mの範囲に あり、最大の個体では10.6mだった。全体の生存率は、19、33、46および50ヶ月目の順にそ れぞれ63%、60%、53%および39%と時間の経 過と供に減少した。系統の生存率についてのフリードマンの順位検定の結果、植栽後33ヶ 月目までは1%水準で、46ヶ月目以降は0.1%水準でそれぞれ有意差が認められ、植栽50ヶ 月目の系統の生存率の平均値は3%から89% の範囲にあった。50ヶ月目まで暫定的な結果ながら、樹高の最小二乗推定値で5.7m、生存率では81%の 系統があることから、優良系統の選抜などを行うことで、Eucalyptus camaldulensisが西表島の有望な造林樹種にな る可能性が示唆された。 |