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表面波探査による桜島の渓流土砂の地下構造推定
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浅野志穂
(森林総研九州), 壁谷直記, 萩野裕章, 宮前 崇, 岡田康彦 |
火山地域における治山事業を効率的に進めるためには、不安定土砂を適切に見積もる方法が必要となっている。特に火山斜面では比較的ルーズな斜面を発生源とする土石流が頻発し、渓流には不安定な堆積土砂が多く分布している。本研究では表面波探査などにより渓流の堆積土砂の地下構造について推定し、治山堰堤の設置時期との対比を行い、堆積時期と地盤の強度特性の関連について検討した。 |
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臨界すべり面解析を用いた森林地上部荷重が斜面安定性に及ぼす影響
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松井雅典
(九大生資環), 久保田哲也 |
山地斜面の安定性は地形や地質、植生などによって決まる。これまでの研究では、根系が斜面安定性にどのように影響しているかという研究は、数多く行われている。一方で、森林地上部荷重が斜面安定性に及ぼす影響を検討した例は限られている。しかも、従来の研究では無限長斜面を仮定し、すべり面も地表に平行で直線形を想定したものがほとんどであり、任意のすべり面を想定して地上部荷重が斜面安定性に及ぼす影響を検討した例は一例しか見当たらない。本来、斜面安定性とすべり面の深さや形状は密接に関係しており、従来の解析では地上部荷重の影響を十分評価出来ていないと思われる。そのため、本研究では、最小安全率となるすべり面を自動探索して斜面安定性を評価できる臨界すべり面解析を用いて、地上部荷重が斜面安定性とすべり面の位置や形状にどのような影響を与えるかを解析した。 |
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雲仙普賢岳火砕流堆積地の緑化に用いるアカマツ母樹の選定に向けた予備的研究
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川本啓史郎
(長崎県農林 技術開発セ), 副山浩幸 |
島原半島内の雲仙普賢岳火砕流堆積地は航空緑化により草本類が大部分を占める植生となっている。長崎県は、アカマツを中心とした地域固有の遺伝子プールを持つ木本群落の早期形成と円滑な世代交代を期待した緑化を行う計画である。アカマツは、近交弱性が発生することが明らかにされていることから緑化に用いる種子・苗木は遺伝的距離が遠い複数の母樹由来にすることが望ましい。しかし、島原半島のアカマツ個体群について遺伝的評価を行った報告はこれまでない。そこで今回、母樹を選定するための遺伝マーカーの探索を試みたのでその概要を報告する。 |
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低木層の発達した壮齢のヒノキ人工林と広葉樹二次林における遮断蒸発量の比較
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西田佐弥紀
(宮大農), 高木正博 |
針葉樹林と広葉樹林における蒸発散量を比較することは、森林の水源涵養機能を十分に発揮させるための管理や森林水循環を考えるうえで重要となる。Komatsu et al.(2007)は、日本の無雪地域において若齢針葉樹林は広葉樹林と蒸発散量が同程度で、壮齢針葉樹林は広葉樹林より蒸発散量が少ないと指摘した。ただし、樹冠遮断蒸発ついては様々な試験地で得られたデータをもとにしている。一方、樹冠部における水循環過程において、低木層が重要な要素となり得るかについては定かではなく、低木層の発達した針葉樹林と広葉樹林の蒸発散量を比較した研究は見当たらない。さらに、林床面遮断蒸発量の研究事例は少ない。そこで、低木層の発達した壮齢のヒノキ人工林と広葉樹二次林において、樹冠遮断蒸発量、林床面遮断蒸発量、および遮断率の比較を試みた。 |