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福岡県における国産材の横架材利用に関する実態と課題
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丸山理紗(九大農),川ア章惠 | 現在日本の森林は伐期をむかえ国産材の利用促進の動きが高まっている。製材用材の需要量は住宅着工数の減少と共に減少傾向にあるが、その割合は木材需要量の約35%と高い値を保っている。一方で、建築物全体の約30パーセントを占める梁・桁材といった横架材への国産材の使用は約7%と低い値を示しているため、国産材の自給率を上げるためには梁・桁材への利用を増やしていくことが効果的であると考える。本研究では、国産材の横架材利用に関する実態と課題、特に無垢材の横架材への利用率が低い原因を明らかにすることを目的とする。研究方法は、基礎的な統計分析を行った上で、福岡県内において国産材を実際に利用している設計事務所や大工・工務店を対象に設計・建築主体が国産材を利用するために必要な条件や施主に対して行う国産材使用のアピール方法、国産材利用に対する意向などを聞き取り調査により明らかにすることとする。 |
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九州における木材価格および取引量の動向分析
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尾分達也(九大生資環),川ア章惠,佐藤宣子
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木材価格が低迷して久しいが、2012年に入り木材の価格が著しい下落をみせている。特に2012年6〜7月にかけて宮崎県、大分県、高知県など全国各地での木材価格の急激な下落が報告され、九州において顕著だと言われている。その原因は国産材需要量の急減に対して供給過多にあると推測されるが、それを実証的に示した資料は少ない。そこで本研究では、近年の九州の原木市場における原木取引量と木材価格の変動を調査し、実態の把握に努める。具体的には、九州の原木市場を対象に、原木取扱量、原木販売量、原木価格のデータを収集することで、実態を把握した上で原木需給量と価格の連動性を実証的に考察する。さらに、各市場の動向を把握することに加えて、周辺の製材工場における直送による取引の実態も考察に含めたい。 |
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福岡県における素材の流通実態
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大塚英隆(福岡県森林技セ) | 近年の世界的な木材需給のひっ迫により国産材自給率は増加傾向にあり、人口が多く木材の消費地となっている福岡県においても国産材需要が高まっており、とりわけ県産材の供給拡大を図ることが課題となっている。しかし、製材用の原木や製材品は近隣の有力な生産県からの移入が多くみられ、成熟期を迎えた県内の森林資源が十分に活かされていない状況である。そこで本研究では、県内の主要な林業事業体で生産された素材の出荷状況、原木市場での集出荷状況を調査するなど、県内の川上(素材生産)から川下(製材工場)までの木材の流通実態を明らかにし、各流通段階での問題点を抽出・分析し考察を行う。 |
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森林組合系統による原木安定供給 −熊本県森連の事例から−
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山田茂樹(森林総研九州) | 川下加工部門の大型化への川下原木供給部門の対応としては、何らかの主体による材の取りまとめによる一括供給が考えられる。近年、森林組合系統がこれを担う動きがみられるが、いわゆる施業集約化による森林組合林産事業の拡大は、政策的な推進もあり一定の進捗はあるものの、大きく素材生産量が伸びているとは言えない。森林組合系統による原木の一括供給は、このような現状を反映したものにならざるを得ない。本報告は、熊本県森連による(協)くまもと製材への原木供給を取り上げ、森林組合系統による原木一括供給の現段階の特徴を分析した。その結果、同県森連による供給量のうち、森林組合系統による供給量は多くても4割程度であり、その比率は減少しつつあったが、これは、傘下森林組合の林産事業の出材量の限界と量的変動を前提とした同県森連の集荷方針によるものであることが明らかとなった。 |