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機械化主伐一人親方の経営実態 −宮崎県耳川流域旧東郷町の事例−
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大地俊介(宮大農),藤掛一郎, 黒木健太 |
近年、宮崎県では大規模な素材生産事業体が活躍する一方で、機械化主伐一人親方という業態が存在感を増している。本研究ではその実像を明らかにするため、宮崎県耳川流域旧東郷町の機械化主伐一人親方に対して経営実態調査を実施した。その結果、機械化主伐一人親方には、@自己資金でプロセッサ等を購入するほど設備投資に積極的、A大規模業者との競合を回避するため、専ら零細林地の主伐作業に従事、B年間素材生産量3,000m3ほど、C機械代の負担増は長時間労働によって分散、という特色がみられた。また、元々の専業的な素材業者が機械化とともに従業員を減らして現在の業態になったという共通点もみられた。これらのことから、機械化主伐一人親方は、機械化がもたらした素材生産業の今日的な業態の一つであり、小規模な主伐需要の担い手として地域林業で重要な地位を占めているものと考えられる。 |
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素材生産事業者に対する技術者教育 −鹿児島大学受講生の属性と評価から−
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奥山洋一郎(愛大農),芦原誠一,
岡 勝,寺岡行雄,枚田邦宏 |
林業における人材育成の重要性の認識は高まっているが、到達すべき技術者像は多様であり、各地での取り組みが続いている段階である。特に、資源が成熟して素材生産活動が活発な九州においては、市況・林分状況を把握して生産システムを設計できる人材の育成が急務である。本報告では、大学における林業技術者養成の取り組みから、解決すべき課題と今後の展望について議論する。事例は、(1)素材生産事業体で、(2)現場管理者を目指す者、を対象としており、既存の研修体系で軽視されてきた中堅林業技術者の育成を目指したものである。同事業の受講生に対して、属性、講義への理解・関心度、成果を自己評価により調査した。結果として、多くの受講生は「技術」よりは「知識」の取得を成果としており、人的な交流が高い満足度を示した。実施時期については、林業の繁忙期である【秋/冬】よりは、閑散期である【春/夏】が望ましいという回答だった。 |
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農林高校の林業技術者養成の現状 ?教科書の分析を中心に?
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枚田邦宏(鹿大農),井戸哲也,
奥山洋一郎 |
全国には、森林科学関連の教育を行う高校が70数校あるが、その中で林業技術者を養成する高校は限定されている。そのような高校が利用する森林科学に関する教科書は文部科学省により作成されている。本報告では、林業技術者養成の視点からみて農林高校の意味を検討するために、利用されている教科書の分析を行った。結論としては、近年の森林・林業を取り巻く変化、とりわけ、変化の激しい木材生産構造に対応した教科書になっておらず、林業技術者養成を考えると、教科書以外を利用した教育が必要であることが示唆された。 |