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小規模森林所有者における後継者の有無と経営意向 −佐伯広域森林組合を事例として−
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林田雅人(鹿大農),遠藤日雄
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大分県佐伯広域森林組合の組合員を対象として、林業経営の後継者の有無と経営意向についてアンケート調査を実施し、以下の点を明らかにした。後継者が「いない」所有面積が1〜5ha未満の小規模森林所有者は、後継者が「いる」小規模森林所有者に比べ、人工林を伐採して立木を売却する意欲が高い傾向がみられた。また人工林の伐採方法は主伐が占める割合が非常に多かったにもかかわらず、主伐した後の植林への関心は低い。そして立木とともに土地まで一緒に売りたいと考えている小規模森林所有者も多い。したがって、後継者が「いない」小規模森林所有者は、立木を伐採してしまい、それで林業経営を終わりにする考えを持つ人が多く、今後再造林放棄地の増加などが懸念される。 |
109 | 不在村森林所有者対策の現状と課題 −鹿児島県を事例にして− |
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干場信明(鹿大農),遠藤日雄
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所有する森林と異なる市町村に居住する不在村森林所有者(以下、不在村者)の保有する森林は、全国の私有林の約4分の1を占めており、所有者の高齢化に伴う相続の発生等によって、今後も増加することが予想される。不在村者については施業受託の困難性が指摘されており、国はその対策として「ふるさと森林会議」の開催や、ダイレクトメールを送付する「網羅的な働きかけ」を行っている。そこで、鹿児島県における国の不在村者対策の結果を分析した。その結果、森林組合から不在村者に対する、郵送のような一方向的な働きかけだけでは、返信や施業依頼の連絡等、不在村者からの反応を得ることは困難であることが明らかとなった。また、宛先不明な所有者の森林が存在することも明らかとなった。よって、不在村者へのアプローチの手法を確立するだけでなく、所有者の特定方法を構築する必要性が明らかになった。 |