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福岡県における学校林活用の実態と課題
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塩崎智悠(九大農),
川崎章惠 |
本報告では、明治時代から始まった「学校林」の現代における活用事例を考察する。学校林の役割は、学校林が普及した当時の「財産」から、「環境に関する教育、体験活動の場」に変容してきている。国土緑化推進機構調べによれば平成18年度には全国で3,321校が学校林を保有し、面積は約2万haであるが、そのうち実際に活用しているのは1,183校 にとどまっている。国は平成14年度より学校林整備・活用推進事業を開始し、 森林環境教育の充実を図っている。また福岡県では、平成15年度からの10年間を計画期間とする森林・林業基本計画において、学校林を林業体験学習の場として整備する旨を記載している。このような施策がありながらも、学校林活用は十分とは言えない。そこで、福岡県において学校林を保有している小学校を対象に、学校林の保有形態、管理方法、教育での活用状況、地域住民との関わりを調査し、学校林の実態と課題を明らかにする。 |
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宮崎県諸塚村におけるグリーンツーリズムの展開 −エコツアーやま学校の13年間−
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藤掛一郎(宮大農),
小島三樹,大地俊介 |
宮崎県東臼杵郡諸塚村はエコツアー「諸塚でやま学校しよう!」と今日称するツアーを1999年度より始めた。2011年度までの13年間に開催回数は100回を越え、ツアーは山村・都市交流事業として地域に根付いた。本研究はツアー開催記録の分析から、このツアーが内容を充実させ、地域に根付いていく過程を明らかにすることを目的とした。分析の結果、年とともにツアーの体験項目、訪問地、宿泊施設が多様化したことが示された。体験項目は当初農作業が中心であったが、その後、村の自然や暮らしに触れる様々な体験が登場し、山村の多面的な魅力を取り込んだものへと発展していた。同時に、体験で訪れる訪問地や宿泊施設も多様化し、多くの村民が受け入れに関わるようになっていた。こうして、このツアーは山村・都市交流事業としてより意義あるものへと発展していった結果、安定した集客を達成し、地域に根付いていったものと考えられた。 |
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沖縄県の森林・林業の課題とグリーンエコノミー政策 −1992年地球サミットから2012年リオ+20へ−
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芝 正己(琉大農),Azita Ahmad Zawawi,Noor Janatun Naim Jemali,知念良之
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1992年の国連地球サミットから20年の今年、「持続可能な発展と貧困根絶の文 脈におけるグリーンエコノミー」、「持続可能な発展のための制度的枠組み」をテーマに地球サミット(リオ+20)が開催された。このグリーンエコノミーという考え方は、成長と環境を両立させた経済活動を意味 し、OECDのグリーン成 長戦略に従えば、環境悪化、生物多様性喪失、天然資源の収奪的利用を抑制し、 経済成長と発展を追求するプロセスであり、 よりグリーンな経済移行に伴う構造変化の管理と新たな産業・雇用・技術を創出させる機会である。今回の会議が 20年前と同じ場所で開催されたこと は、依然として自然資源としての森林の問題が世界的に大きな課題であるとともに、20年を経ても「持続可能な森林の管理・利用」に向けた問題が解 決してない実情を示している。本報告では、この間の沖縄県の森林・林業の動向を踏まえ、グリーンエコノミーの役割とその可能性について議論する。 |