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山林境界明確化に果たす地域社会の貢献:宮崎市木花振興会の事例
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大地俊介(宮大農),金丸太郎,藤掛一郎
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本研究では森林境界明確化の際に活用される地域社会のナレッジを明らかにするため、共有林周辺を対象に実施された森林組合の取り組み(県単補助)を調査した。その結果、@共有林の図面や台帳が作業を効率化させたこと、A「地域事情や山林事情に精通している」と地域の信認をうけた元森林組合職員や林業一人親方が案内人、立会人、さらには代理人として極めて重要な役割を果たしたことなどが明らかになった。本事例においては、これらの明示的ナレッジと人材が地域と森林組合との媒介となり森林境界明確化の円滑化に寄与したと考えられる。ただし、逆に言えばこのような条件の整わない地域では境界明確化は困難であることが予想された。 |
108 | 森林経営計画制度下における主伐・更新伐の位置づけ −南九州を事例に− |
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石井博也(九大生資環),佐藤宣子
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我が国の森林資源は人工林を中心に成熟期を迎えている。これに伴い、無秩序な皆伐や再造林放棄の問題が懸念されている。一方で、主伐回避の森林経営による森林資源の齢級構成の偏りの問題も指摘されており、これらの問題の解決の上で森林計画制度の役割は一層重要となっている。このような中、2011年に森林法の改正が行われ、森林経営計画制度が創設された。この中で、森林経営計画内での1伐区の皆伐上限面積20haの基準を公益的機能別森林以外に拡大することや、造林補助項目として90年生以下の林分への更新伐を追加すること等、主伐に関して大幅な変更が加えられた。 主伐が盛んな九州において、森林経営計画制度が適切な伐採や更新を誘導し、持続的な森林経営や齢級構成の平準化に寄与しうるかを地域別・事業体別に明らかにすることが求められる。本報告では、南九州を事例に森林経営計画の策定状況及び主伐・更新伐の位置付けについて考察する。 |