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全木重量測定によるスギの葉枯らし乾燥について
寺岡行雄(鹿大農),園田高士,岡 勝,松元正美
木質バイオマス燃料用チップへの期待が高まっている。しかし、安定的なボイラー稼働のためのチップの含水率を下げた燃料チップの安定的供給は困難である。そこで、低コストな乾燥方法として、燃料チップ生産用立木の含水率を葉枯し乾燥により低減することを期待できるのではないかと考えた。50年生のスギ10本を平成24年7月9日に伐倒し、12月13日までの157日間葉枯し乾燥を行った。期間中2週間に1度程度(計12回)の全木重量測定を行った。最終的に3箇所からサンプル円板を採取し、全立木の含水率の経時変化を明らかにした。その結果、平均含水率は測定開始日の158%から測定終了日では93%まで減少していることがわかった。

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チップ原木における材積から重量への換算係数について
萩野香澄(鹿大農),寺岡行雄
木質バイオマス燃料の大きな需要が生まれようとしている。燃料材の取引ではパルプチップ材の取引に準拠して、チップ工場での受け入れは重量で検収される一方で、素材生産側へは材積ベースでの支払いとなっている。この際に重量から材積への換算係数が問題となるが、この換算係数の根拠はよくわからない。換算係数に影響する要因としては、求積法・樹皮・容積密度等があげられる。そこで本研究ではまず、求積法に注目し末口二乗法による求積誤差の出現傾向について検討した。リーケ式で求められる材積を真値と仮定した上で、樹幹解析にて得られたスギのデータを使用し、長さ2m、4m、8mの丸太を対象として末口自乗法での求積結果との比較を行った。

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農山漁村再生可能エネルギー導入可能性調査からみた九州管内の木質バイオマスの賦存量等について
吉田茂二郎(九大農),谷川直太
昨年度、農水省により統計値や公表資料といった現時点で入手可能なデータを用いて、農山漁村の資源を活用した再生可能エネルギー電気の導入可能性のある地域・地点を提示する事業が行われた。具体的には、各県全域の農山漁村地域を対象として、耕作放棄地、農業水利施設、林地または漁港・漁場において行われる太陽光発電、小水力発電、風力発電並びに民有林における森林資源又は林地残材等を活用した木質バイオマス発電の導入可能量を調査するものであった。この調査を、佐賀県(佐賀大)、熊本県(熊本大)、鹿児島県(鹿児島大)そして福岡県(九州大)が、共同で行った。ここでは、木質バイオマスに絞って、調査した4県に加えて、調査を実施しなかった長崎県と大分県、ならびに他の機関が行った宮崎県を加えて、すべて統一的な方法で再解析したので、その結果を発表する。

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木質バイオマスのエネルギー利用における地域経済への影響評価 −北海道足寄町を対象として−
村橋隆介(九大生資環),吉田茂二郎,溝上展也
近年、再生可能エネルギーの一つとして、バイオマスのエネルギー利用が注目されている。その中の一つである、森林由来の木質バイオマスのエネルギー利用は、化石燃料使用の削減による地球温暖化防止、新産業・雇用の創出による地域経済の活性化などの面から重要である。しかし、木質バイオマスのエネルギー利用による地域経済への影響を対象とした研究事例は少なく、その効果を把握しきれていないのが現状であると言える。そこで本研究では、北海道足寄郡足寄町を対象として、産業連関表を作成、また作成した表を用いて産業連関分析を行うことにより、地域経済への影響を定量的に把握することを目的とした。今回の発表では、足寄町でとかちペレット協同組合により行われている、ペレット生産の経済波及効果について発表する予定である。