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鹿児島県における暖房用薪の需要と生産について
前田清水(鹿大農),寺岡行雄,
佐藤政宗
温暖な鹿児島県でも戸建てを中心に薪ストーブの設置者が増えているが,その実態はよくわかっていない。都市域住民の薪ストーブでの薪の需要の特徴について検討した。九州内では熊本においてNPO法人が中心となり薪需要の掘り起こしに努めているが,鹿児島においては薪販売業が十分に確立しておらず,薪の流通が不安定である。一事例あたりの年間薪消費量は数百kgと推察され,購入事例調査から需要量を明らかにする。さらに,質の良い薪生産の方法について乾燥の観点から検討を行った。

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未利用林地残材を用いた木質バイオマス石炭混焼発電におけるFIT制度の影響
池内 学(九大生資環),
吉田茂二郎,
加治佐 剛,
溝上展也
化石燃料の価格上昇等のエネルギー事情やCO2排出の抑制の観点から、現在再生可能エネルギーへの関心が高まっている。2011年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(以下FIT制度)」が施行され、電気事業者が再生可能エネルギーにより発電された電力を一定価格で買い取る事が決定した。その中で固形燃焼燃料(未利用木材)による発電の買取価格は33.6(kWh/t)となっている。この施策により未利用木材の一つである林地残材の有効活用が可能となり、林業の活性化が見込まれる。そのためFIT制度は林業従事者の収益に大きな影響力を持つと考えられる。そこで本研究ではFIT制度が及ぼす収入により搬出可能な森林資源量等の影響について研究を行った。

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皆伐後の林地残材を利用した燃料チップ生産業の可能性 −鹿児島県S森林組合を事例として−
佐藤政宗(鹿大農),寺岡行雄
近年,エネルギー需給や環境問題の観点から,木質バイオマスのエネルギー利用に対する期待が高まっている。木質バイオマスの中でも,林地残材は収集・運搬にコストがかかるため,その多くが未利用となっている。そこで本研究では,鹿児島県内でも素材生産量の多いS森林組合管内において,皆伐実績や皆伐地のGISデータを基に管内の土場や林道端で発生した林地残材の発生量と分布状況を明らかにした。また,発生した林地残材を木質バイオマス燃料としてエネルギー利用するため,土場または林道端に存在する林地残材を乾燥させチップ化し運搬する専業のチップ生産業者を想定して,皆伐現場の面積や配置から安定的なチップ生産の可能条件について検討した。