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市販デジタルカメラを活用した材積測定システムの開発
福永寛之(鹿児島県森技セ) 現在、原木流通の現場では、コスト削減のために山土場から製材工場への直送の取組が行われている。直送では山土場検収が必要となるが、現状では人力による検収となり、労力や時間の問題、測定結果の客観性や再現性の問題などが発生し、直送へなかなか移行出来ない状況にある。そこで、この問題点の改善策の1つとして、画像処理手法(局所特徴量分類、LBP)を活用した測定システムを検討したので報告する。このシステムは、市販のデジタルカメラを活用し、はえ積みした丸太を撮影した1枚の画像の中の木口面を認識させ、直径や材積を測定するシステムであり、撮影条件を整えれば、はえ積した原木の木口の9割を認識し、認識した個々の丸太直径を±2cm程度で、総材積±2m3程度(95%信頼区間)で測定することが可能である。なお、材積測定法はJAS規格によるものとした。

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ICタグを利用した樹木管理およびモニタリングシステムの開発
小野雅子,高橋 誠,渡辺敦史(九大農)
樹木の成長量測定や枯損調査およびその管理は一般的に長期にわたることが多い。長期のモニタリングを実施するにあたって個体管理は重要である一方で、調査者が変わることで個体が不明になることや誤った個体を調査する可能性がある。DNAを活用した個体識別は可能である一方で、調査対象地におけるDNA型データベースの作成や分析等が必要であり、労力やコストが必要となる。そこで、林木育種センターでは、新たに個体管理システムとしてICタグを活用した長期モニタリングシステムを開発した。ICタグは個体を管理するだけでなく、調査記録も電子媒体として保存可能であり、タグの基質を考慮すれば長期にわたるモニタリングも可能である。本報告において新たに開発したシステムを紹介する。

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熱帯季節林におけるビッターリッヒ法の適応可能性
加治佐 剛(九大農),太田徹志,溝上展也,吉田茂二郎
ビッターリッヒ法は定面積プロットを設定することなく、また全林木の直径を測定することなしに単位面積あたりの林分構造パラメータを推定することが出来る手法である。この方法は定面積プロットの測定に比べ、1地点あたりの測定時間を軽減出来ると考えられるが、推定値がどこまで代表できるか熱帯林、特に熱帯季節林においては検証されていない。現在、途上国ではREDDの枠組みにおいて森林資源および炭素吸収量の国レベルでの報告が求められており、森林資源推定においてビッターリッヒ法の有効性が認められれば、測定の簡便化が進み、国家レベルの資源量の推定を低コスト且つ短時間で実施できることになる。そこで、今回は熱帯季節林を対象に毎木調査データからビッターリッヒ法の適応可能性を評価する。