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過去のポット苗の事例からコンテナ苗の課題を探る
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山川博美(森林総研九州),重永英年,野宮治人,鹿又秀聡 | 木材価格の低迷により林業経営は厳しい状況となっており、林業経営の持続には作業コストの削減が必要不可欠となっている。そこで、近年、育林作業の低コスト化を目的として、コンテナ苗が注目を集めている。コンテナ苗は、裸苗と比較して植栽効率が良いこと、また根鉢付の苗木であるため、時期を問わず植栽が可能であること、裸苗と比較して初期成長が良いことが期待されている。これらについては、植栽事例の増加とともに幾つかの研究成果が報告されている。過去には、コンテナ苗と同様に植え付け時期の拡大、および初期成長の良さを目的としてポット苗について研究が行われている。しかしながら、ポット苗の植栽は一般的なものになっていない。そこで、本研究ではコンテナ苗と根鉢付苗という点で共通した形態を持っているポット苗の過去の植栽事例や研究事例をレビューし、利用が始まったコンテナ苗の課題について考察する。 |
309 | マルチキャビティコンテナを活用したスギの品種別及び用土別の発根試験 |
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佐藤嘉彦(大分県林研)
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近年、利用期を迎えた人工林を中心に伐採、利用が進みつつあり、伐採後の再造林を確実に実施することが持続可能な森林経営を図るうえで課題となっている。コンテナ苗は「植栽作業が効率的」、「通年での植栽が可能」として再造林現場等で普及が進みつつある。しかし、コンテナ苗に関しては植栽後の成長や苗木生産方法等について解決すべき課題も多くみられる。今回、コンテナ苗の生産技術の向上を目的として、マルチキャビティコンテナにスギの穂木を直接挿しつける方法により品種別及び用土別の発根試験を行った。試験結果から、品種と用土の組み合わせによって発根率等に差が見られたので報告する。 |
310 | コンテナ苗の植栽直後の倒伏とその後の回復 |
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重永英年(森林総研九州),山川博美,野宮治人
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近年の再造林では、従来の裸苗に代わってコンテナ苗を植栽する事例が見られるようになった。コンテナ苗は、育苗段階で施肥や灌水を行うため、山出し時点では裸苗に比べて徒長気味となる場合があり、このような苗木を林地に植栽した際には苗の倒伏が問題となることがある。本発表では、森林総研九州支所の苗畑に植栽したスギコンテナ苗について、植栽直後の倒伏と苗木サイズとの関係、時間経過にともなう倒伏の回復状況について報告する。 |
311 | Mスターコンテナを用いたスギ苗の育成試験(X) ?育苗2年目における容器のサイズアップについて? |
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三樹陽一郎(宮崎県林技セ)
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下刈りコストを削減する手段の一つに、大苗を植栽して下刈り期間を短縮する方法がある。一方、Mスターコンテナは、片面が波形になったポリエチレン製シート(以下、育苗シート)を丸めた容器とそれを支えるトレーで構成されたコンテナ苗を育成するシステムで、1年生のスギコンテナ苗については実用生産が開始されているが、大苗生産に向けた育苗技術は確立されていない。そこで、育苗シートの巻き加減で容器サイズが調節できる特徴を活かし、育苗2年目において培地の追加による容器のサイズアップとその作業適期について検討した。具体的には、Mスターコンテナで育成している1年生のスギコンテナ苗を材料とし、育苗シートの展開し、根鉢周囲に培地を追加した後、再び育苗シートを巻く方法で行った。この作業は、労力分散を目的として2月、4月、6月に実施し、秋までの成長状況を調査した。 |