造林Ⅰ D

412	ヒノキ個体の幹における成長量と呼吸量の配分比
荒木眞岳（九大農／森林総研九州），玉泉幸一郞，齊藤　哲，梶本卓也	樹木個体では、同化器官によって得た剰余生産物が非同化器官に配分され、各器官は成長する。同時に、成長に起因する成長呼吸と、生きている細胞の維持などに起因する維持呼吸によって炭素は消費される。幹は、林分においてその現存量が占める割合が大きく、また、林業における最終生産物である。したがって、幹における成長量と呼吸量の配分比、すなわち、炭素利用効率（＝成長量／（成長量＋呼吸量））を調べることは、森林における炭素収支の理解だけでなく、森林管理の上でも重要であると考えられる。本研究は、50年生ヒノキの幹について直径成長、温度と呼吸速度の季節変化を調べ、直径成長と温度から呼吸速度を推定するモデルを構築した。まず、50年生ヒノキ個体における幹の炭素利用効率を明らかにする。次いで、直径成長と温度を測定した10年生ヒノキに対してこのモデルを適用し、10年生の個体についても幹の炭素利用効率の推定を試みる。

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ヒノキ個体の幹における成長量と呼吸量の配分比

荒木眞岳（九大農／森林総研九州），玉泉幸一郞，齊藤　哲，梶本卓也

樹木個体では、同化器官によって得た剰余生産物が非同化器官に配分され、各器官は成長する。同時に、成長に起因する成長呼吸と、生きている細胞の維持などに起因する維持呼吸によって炭素は消費される。幹は、林分においてその現存量が占める割合が大きく、また、林業における最終生産物である。したがって、幹における成長量と呼吸量の配分比、すなわち、炭素利用効率（＝成長量／（成長量＋呼吸量））を調べることは、森林における炭素収支の理解だけでなく、森林管理の上でも重要であると考えられる。本研究は、50年生ヒノキの幹について直径成長、温度と呼吸速度の季節変化を調べ、直径成長と温度から呼吸速度を推定するモデルを構築した。まず、50年生ヒノキ個体における幹の炭素利用効率を明らかにする。次いで、直径成長と温度を測定した10年生ヒノキに対してこのモデルを適用し、10年生の個体についても幹の炭素利用効率の推定を試みる。

413	滞水に対するヒノキとスギの生理反応の比較
高村真梨子（九大生資環），高瀬雅生，玉泉幸一郎	降雨イベントの変動幅の拡大により、造林木が過湿ストレスを受けるリスクが増大している。特に、過湿条件でトックリ病を多発するヒノキは影響を受けやすいと考えられる。これまでに、造林木のスギとヒノキの滞水耐性を比較したところ、滞水直後の反応が異なった。そこで、本研究ではこの反応の違いを引き起こす要因を明らかにすることを目的とした。材料は２～３年生のシャカインスギとナンゴウヒで、同一の鉢に両種を植栽したものを８鉢用意し、このうち４鉢を滞水処理、残りを対照として用いた。滞水処理は４日間で、バケツに入れた鉢を水で満たすことで行った。処理の前日から３日後までの計８日間、12時頃に木部圧ポテンシャルと蒸散速度を測定した。その結果、ヒノキでは処理１日目で急激な通水抵抗の増大が見られたが、スギでは変化が見られなかった。よって両種の反応の違いは、ヒノキの根の吸水能の低下が原因であると考えられる。

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滞水に対するヒノキとスギの生理反応の比較

高村真梨子（九大生資環），高瀬雅生，玉泉幸一郎

降雨イベントの変動幅の拡大により、造林木が過湿ストレスを受けるリスクが増大している。特に、過湿条件でトックリ病を多発するヒノキは影響を受けやすいと考えられる。これまでに、造林木のスギとヒノキの滞水耐性を比較したところ、滞水直後の反応が異なった。そこで、本研究ではこの反応の違いを引き起こす要因を明らかにすることを目的とした。材料は２～３年生のシャカインスギとナンゴウヒで、同一の鉢に両種を植栽したものを８鉢用意し、このうち４鉢を滞水処理、残りを対照として用いた。滞水処理は４日間で、バケツに入れた鉢を水で満たすことで行った。処理の前日から３日後までの計８日間、12時頃に木部圧ポテンシャルと蒸散速度を測定した。その結果、ヒノキでは処理１日目で急激な通水抵抗の増大が見られたが、スギでは変化が見られなかった。よって両種の反応の違いは、ヒノキの根の吸水能の低下が原因であると考えられる。

414	スギの幹貯留水の高さ別分布と季節変動
玉泉幸一郞（九大農）	植物は葉からの蒸散によって水を失い、根からの吸水によって水を供給するが、蒸散速度と給水速度は必ずしも一致しない。これは、体内に存在する貯留水がコンデンサーの役目をし、緩衝材として働くために発生する現象である。貯留水は多くが葉と幹に存在することが知られているが、それらに関する研究は少ない。本研究では、スギの幹における貯留水の高さ別分布と季節変動を明らかにすることを目的とした。3本のスギ（樹齢25年、樹高9ｍ、直径15ｃｍ）の垂直方向にそれぞれ4か所に自記デンドロメーターを設置し、2013年の6月から9月までの期間、10分間隔で幹の伸縮量を測定した。幹の日最大収縮量から最大日貯留水量を算出し、それらの季節変動を高さ別に比較する。また、日単位での幹の伸縮パターン（貯留水の利用の仕方）を季節や土壌水分との関係で比較する。

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スギの幹貯留水の高さ別分布と季節変動

玉泉幸一郞（九大農）

植物は葉からの蒸散によって水を失い、根からの吸水によって水を供給するが、蒸散速度と給水速度は必ずしも一致しない。これは、体内に存在する貯留水がコンデンサーの役目をし、緩衝材として働くために発生する現象である。貯留水は多くが葉と幹に存在することが知られているが、それらに関する研究は少ない。本研究では、スギの幹における貯留水の高さ別分布と季節変動を明らかにすることを目的とした。3本のスギ（樹齢25年、樹高9ｍ、直径15ｃｍ）の垂直方向にそれぞれ4か所に自記デンドロメーターを設置し、2013年の6月から9月までの期間、10分間隔で幹の伸縮量を測定した。幹の日最大収縮量から最大日貯留水量を算出し、それらの季節変動を高さ別に比較する。また、日単位での幹の伸縮パターン（貯留水の利用の仕方）を季節や土壌水分との関係で比較する。