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鹿児島県におけるスギ精英樹のコンテナ苗生産に関する調査
宮里 学(鹿児島県森技セ),武津英太郎
マルチキャビティコンテナで生産した苗木(コンテナ苗)は、従来のポット苗よりも軽量小型であることから、造林作業の低コスト化を図るうえで有効な手段として期待されている。コンテナ苗の生産技術については、造林用苗木の樹種・品種が地域によって異なることから、それぞれ地域にあった生産手法を検討する必要がある。そこで、鹿児島県森林技術総合センターでは平成23年度からスギ精英樹のコンテナ苗生産技術確立に向けて、培地及び挿し付け時期の比較試験を実施しており、今回はこれまでの調査結果について報告する。

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低台仕立ての採穂木を利用したマツのさし木における各種処理が根系等の形状に与える影響
千吉良 治(林育セ九州),松永孝治
マツノザイセンチュウ抵抗性種苗の生産において、従来の線虫接種済みの実生苗に加えて低台仕立ての採穂木由来のさし木苗の生産技術が新たに開発され、発根率等の調査からコスト面等では実用化の目途が立っている。ところで実生苗とさし木苗では根系の発達の仕方等が異なると考えられるが、このことは植栽後の活着率や生長等に影響を及ぼす可能性がある。本報告では、さし木苗の根系等の発達の仕方を把握するために、さし木における各種処理が発根率や根系等の形状に与える影響について調べたのでその結果を報告する。

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9年生スギクローンの応力波伝播速度によるヤング率の評価
倉原雄二(林育セ九州)
スギのヤング係数を推定する手法として立木状態で測定した応力波伝播速度を指標とすることが広く行われている。この手法は非破壊的であり測定に要する時間が短いので多数の個体の評価が必要な林木育種に適している。また、比較的若齢の個体に適用することも可能ではある。しかし、木材として利用可能な壮齢時に近い樹齢のヤング率との関係は明確ではない。今回、九州育種基本区から選抜された9年生の第一世代精英樹の応力波伝播速度を測定し、過去に測定された21?26年生の動的ヤング率と比較したので報告する。