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海岸に植栽された抵抗性クロマツ挿し木苗の根系調査
大川雅史(福岡県森林技セ) 福岡県では、九州大学および九州育種場等と共同で、マツ材線虫病抵抗性クロマツ「ハイパーマツ」を開発した。これらは、抵抗性採種園産実生苗に線虫を接種し、健全であった個体(接種検定合格苗)を出荷する現行の生産方法とは異なり、最強病原性線虫個体「NemaQ」を接種し、健全であった個体を母樹として挿し木で生産する新しい方法である。一般に挿し木苗は実生苗に比べ根系が少ないといわれているが、海岸に植栽したクロマツ挿し木苗の根系を調査した事例は少ない。そこでハイパーマツを普及する上での基礎情報として、2003年に植栽した抵抗性クロマツ挿し木苗の根系調査を行ったので報告する。

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抵抗性クロマツの第3期追加選抜の実施状況
松永孝治(林育セ九州),千吉良 治,武津英太郎,倉原雄二,倉本哲嗣,高橋 誠,山田浩雄,星 比呂志,大平峰子,大川雅史,宮崎潤二,真崎修一,吉本貴久雄,山田康裕,草野僚一,田上敏彦,古澤英生,宮里 学 マツノザイセンチュウ抵抗性品種の遺伝的多様性を拡充するため、平成21年度より九州育種場は九州各県の協力を受けて、抵抗性マツの第3期追加選抜を進めている。九州各地で採取された種子を平成21年〜平成23年にまきつけ、平成24年度までに一次検定1回目を終了した。ここでは、これまでに選抜してきた第1期、第2期の追加選抜の実施状況と比較しながら、第3期追加選抜の実施状況について報告する

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マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種開発時の評価と実生後代における抵抗性評価の比較
倉本哲嗣(林育セ九州),松永孝治,大平峰子,岡村政則,藤沢義武 現在マツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種が進められているが、品種開発後の抵抗性の評価に必要な実生苗が得られるまで約10年を要する。そのため、より高い抵抗性能力を有する苗を生産する採種園の設計・改良が迅速に行えないのが現状である。しかし、品種開発時の成績で概ねの評価が可能であれば、効率的な採種園の設計に貢献すると考えられる。そこで本報告では、平成15年に開発されたマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種開発時の評価とその自然交配家系並びに人工交配家系に対する接種検定の結果を比較・検討したので報告する。