707 |
山地源頭部小流域からの炭素流出量の推定
|
---|---|
高木正博(宮大農)
|
山地小流域源頭部からのリター流出は、下流での水質形成や底生動物群集の維持に影響しうる。発表者はすでに、国内でも多雨地域である南九州地方の太平洋側に位置する常緑広葉樹二次林からなる山地小流域源頭部における流出リターの量を明らかにしている。本報告では、渓流水中に溶存している有機炭素量を含めた山地小流域からの年間の炭素流出量を推定することを目的とする。 |
708 | イオン交換膜法を用いた森林土壌の可給態窒素の測定 |
---|---|
稲垣昌宏(森林総研九州) | 土壌中の可給態養分量は、森林の生産性に大きな影響を及ぼす。可給態養分の一部である無機態窒素は、これまでビーズ状のイオン交換樹脂等を用いて測定されてきたが、イオン交換樹脂は土壌との接触に問題が生じやすく、また回収後の洗浄、抽出に労力がかかるといった短所があった。近年イオン交換樹脂に代わり、膜状形態のイオン交換膜を用いた可給態養分量の測定が海外で行なわれている。イオン交換膜は、土壌表面に密着させやすく、回収後の洗浄も容易であるという特徴を持っている。日本の森林土壌においてその有用性を確かめるため、熊本県下の2試験地のヒノキ林においてイオン交換膜法による表層土壌の無機態窒素量の測定を行なった。塩化カリウム抽出による土壌中の無機態窒素中にほとんど検出されなかった硝酸態窒素がイオン交換膜法では検出されていた。イオン交換膜に吸着された無機態窒素は現場の可給態養分の状態を良く反映していたと考えられた。 |
709 |
北部九州のスギ・ヒノキ林斜面における伐採前後の土壌中の窒素移動量
|
---|---|
釣田竜也(森林総研九州),石塚成宏,稲垣昌宏 | 日本でも比較的温暖多雨な九州地域のスギ・ヒノキ人工林において、伐採が土壌からの窒素流出に及ぼす影響を明らかにするため、熊本県菊池市木護 国有林内の伐採予定区と隣接する対照区の土壌中(深さ30cm)にポーラスプレート・テンションライシメータを設置し、水移動にともなう土壌中での窒素移動量の観測を行った。本発表では伐採1年前から伐採半年後までの土壌中の窒素移動量を算出し、対照区との比較から伐採が土壌からの窒素流出に及ぼす初期影響について報告する。 |