714
伐採により攪乱された森林斜面の浸食特性の変化
浅野志穂(森林総研九州),萩野裕章,壁谷直記,清水 晃,黒川 潮 急な森林斜面における表土の浸食特性が森林施業により受ける影響を明らかにするため、熊本県の森林斜面において浸食ピンを用いた侵食量や円筒枠浸透能などの測定を行った。その後森林の伐採を行い、その後の変化について測定を引き続き行った。ここでは途中経過となるがこれまで得られた測定結果に基づいて検討し、その変化について報告する。

715
モウソウチク林における浸食量 −スギ林・常緑広葉樹林との比較−
三角悠真(九大生資環),篠原慶規,久保田哲也 近年、モウソウチク林の分布拡大が報告されている。森林タイプによって浸食量が異なる事が知られているため、モウソウチク林の拡大に伴い浸食量が変化する可能性があるが、関連する研究は少ない。そこで本研究では、九州大学福岡演習林第1林班のモウソウチク林および隣接する常緑広葉樹、スギ林に計測プロットをそれぞれ3箇所設置し、浸食量と表面流量の観測・比較を行った 。観測期間は、2012年6月28日から2013年1月25日である。観測の結果、モウソウチク林の浸食量は、スギ・常緑広葉樹林と比較し有意に小さくなった(ANOVA, p < 0.01)。スギ・常緑広葉樹林においては、降雨量と浸食量に相関があった(p < 0.01)が、モウソウチク林では相関関係は無かった 。このように、モウソウチク林の分布拡大が、浸食量を増大させる可能性は低いと考えられる。

716
山地渓流における大規模土砂堆積後の流路回復過程の評価
前田幸恵(宮大院),清水 収 源流域の流路では、大雨時の土砂生産によって過剰な土砂堆積が発生するが、その後、土砂は時間とともに洗掘され減少する。この土砂が排出される過程は、流路が安定河道に向かうプロセスと考えられる。本研究はルベシュベナイ川に調査区間を設け、2003年の大規模土砂堆積以降、2013年までの毎年の河床変動調査から、実地渓流の流路安定化プロセスをどう認識すべきか、また流路安定化の時空間的な特徴について検討した。調査区間において大規模に堆積した土砂は年々減少していき、近年、土砂の排出は鈍化傾向にある。流路が回復していく過程を、河床高の低下、河床横断形の変化、河床材料の変化の三つの点から評価した。その結果、河床高は堆積による上昇以前の高さまで低下して安定し、また平坦に埋積された流路は掘り込まれて断面が拡大した。さらに、河床材料の粗粒化が確認された。上流区間では変化がみられなくなってきたが、下流では未だ変化が続いている。