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鹿児島県における素材生産事業体の経営
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枚田邦宏
(鹿大農), 奥山洋一郎 |
人工林資源の成熟および国産材の需要先が拡大することにより、一部地域では、素材生産量の拡大が見られる。また、その担い手である素材事業体では、高性能林業機械の導入や現場技術者の確保の取り組みを進めて、生産規模の拡大を目指す動きも見られる。本報告では、素材生産規模が拡大している鹿児島県の登録事業体および認定事業体に対して実施したアンケート調査(2016年度に実施)の結果を用いて、事業活動の現状、高性能林業機械への投資状況とその理由、稼働状況を整理・分析する。さらに、現場技術者の労働条件や能力養成について考えについて検討した結果を報告する。 |
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九州における森林経営計画策定の市町村別特徴と制度課題
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佐藤宣子
(九大院農) |
2012年度に導入された森林経営計画制度は、全国的に策定率が低位であること、策定率および計画種(林班計画、属人計画、区域計画(2014年度導入))別割合が都道府県によって大きな差があることが既往研究で明らかにされている。しかし、市町村別に森林資源や素材生産量との関連についてはこれまで考察された研究はない。本報告では、2015年3月段階における九州7県の市町村別計画策定実態のデータを用いて、資源状況および素材生産と経営計画との関係を考察し、制度の課題について論述する。 |
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女性林業労働者の就労実態と課題
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今井 萌
(九大農)、佐藤宣子 |
林業は長らく林業労働力の減少と高齢化が問題となってきたが、近年は若者の新規参入が増加しており、状況は改善の兆しが見られる。一方、女性の林業従事者の比率は依然低く、3,020人と全体の6%程度であり(2010年度国勢調査)、EU諸国と比べても低い水準にある。かつてわが国でも造林・保育が盛んに行われていた時代には、女性も多く活躍していた。伐出過程での女性比率は低いが、近年、事業体によっては女性を積極的に雇用する動きもみられる。本報告では、林業の現場で働く女性の実態と参入や定着に対する課題を明らかにすることを目的とする。調査方法は統計分析と対面調査で、林業に参入して数年たつ7名の女性林業労働者を対象とした。そのうち2名は現場管理責任者である。女性林業労働者本人が無意識のうちに、職場にもたらす利点も明らかになった。 |