208
森林管理・林業におけるUAVの活用-現状と課題-
加治佐剛
(鹿大農)、寺岡行雄
「空の産業革命」と呼ばれるドローン(UAV:無人航空機)は様々な分野での活用が期待されるとともに、急激なスピードでその制御技術や活用技術が発達し、これまでとは全く異なる空間情報の取得が可能となってきている。これらの技術は林業の分野においても活用の幅が広がるものと考えられる。そこで、今回は産官学から、UAVの様々な活用方法や、利用にあたっての制度的、運用上の諸課題を整理し、UAVの林業分野での今後の活用に向けて議論する。

209
森林管理・林業におけるUAVの活用-モウソウチク林の分光反射特性の季節変動の把握-
上村優太
(鹿大農)、加治佐剛、寺岡行雄
モウソウチク林において稈齢ごとに葉替わり時期が異なるといわれている。このことより、空中写真からモウソウチク林の稈齢比率が分かり、最終的には放置されたモウソウチク林と整備されたモウソウチク林まで把握できるのではないかと考えられる。そこで、本研究では、鹿児島県薩摩川内市の整備されたモウソウチク林を対象に空中写真からモウソウチク林の稈齢ごとにおける分光反射特性の季節的変化を把握することを目的とした。小型UAVを用いて時系列に撮影した画像から稈齢ごとのモウソウチク林の部分を切り出して、それぞれRGB値を計測した。計測結果からみえたモウソウチク林の稈齢ごとにおける分光反射特性の季節的変化を報告するとともに、モウソウチク林での小型UAVを用いた撮影データの利用可能性について議論する。

210
森林管理・林業におけるUAVの活用-海岸マツ林のマツ枯れ被害木の把握-
福永寛之
(鹿児島県森技総セ)、加治佐剛、寺岡行雄
ドローン(UAV)によって空撮が身近なものになり、これを活用した色々な取組が行われるようになってきた。計測関連分野においては、例えば国交省のi-Constructionにあるように、空撮画像をStructure from Motion(SfM)で処理する「UAV-SfM手法」を用いて3次元モデルやオルソフォトを作成し、これらを基に計測などを行う実証が行われている。この手法を森林調査に活用することで、ある程度広域の現況確認や資源量把握、或いは施業実施状況確認などの効率性向上や労務低減が可能になると考えられる。今回は、松くい虫被害対策において現状目視で行っている松くい虫被害木の位置的・量的把握作業に「UAV-SfM手法」を導入し、被害木の位置的・量的把握の正確性向上や効率化を検討したので報告する。

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UAVとSfMを用いた林分構造推定モデルの開発
小川みゆき
(九大農)、太田徹志、伊藤一樹、池田 正、吉田茂二郎
森林の現況把握は、持続的な森林管理に重要である。近年では、安価で空中写真撮影が可能な無人航空機(UAV)とSfMソフトウェアの登場により、空中写真を用いた3次元モデル(DSM)の作成が容易となっている。そこで本研究では、UAVから撮影した空中写真と地上調査の結果を元に林分構造推定モデルを開発し、その推定精度を求めることを目的とした。まず、研究対象地である大分県長期育成循環施業モデル団地において、UAVによる空中写真の撮影と地上調査を実施した。撮影した空中写真から、PhotoScan (Agisoft社、 Russia)を用いてDSMを作成した。DSMと地表高モデル(DEM)の差分から林冠高モデル(DCHM)を求め、DCHMから各地点の最大林冠高や平均林冠高などの林分構造の指標を求めた。同様に、地上調査の結果からも各地点の平均樹高や材積量などの指標を求めて林分構造因子との間で回帰分析を行い、林分構造推定モデルを作成した。