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針葉樹人工林における広葉樹侵入予測ツールの作成
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内村慶彦 (鹿児島県森技総セ) |
不健全な針葉樹人工林の整備方針の一つとして、広葉樹林化が挙げられる。広葉樹林化を目指す場合、立地条件を考慮したうえで、間伐により林内の光環境を改善し広葉樹の自然侵入を促進させることが必要である。そこで、本研究では、スギ・ヒノキ人工林内に侵入した広葉樹の本数密度と立地条件等との関連性を解析し、それらをパラメーターとした広葉樹侵入予測モデルを作成した。また、作成した予測モデルを現場で活用し易くするために、広葉樹侵入に対する間伐効果等を簡易に予測しそれに基づいて施業提案を行うためのツールを作成した。 |
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スギの伸長・肥大成長フェノロジーの年変動
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保坂武宣 (九大農)、玉泉幸一郎 |
九州地域において地球温暖化により樹木の成長期間は長くなり、成長量も増大していく可能性が指摘されている。スギは、我国の代表的な造林樹種であり、その成長量の変化は今後の人工林の炭素固定量評価にも影響すると推測される。本研究においては、現時点におけるスギの成長フェノロジーの特徴を明らかにすることを目的とした。九大構内に植栽された7年生スギ13本を対象とし、主軸の伸長成長、幹の肥大成長のフェノロジーを観察した。主軸の伸長成長は3日~4日間隔で定規を用い測定し、幹の肥大成長について1日~3日間隔で幹の根元に設置されたデンドロメーター(10ミクロンの分解能)の値を読み取った。測定期間は伸長量については2013年から2016年の4年間、肥大成長については2014年から2016年の3年間であった。伸長成長と肥大成長にはそれぞれ異なる成長パターンが観察されたが、それらには大きな年変動は認められなかった。 |
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小型の無人航空機(UAV)を用いた詳細な林冠構造の把握
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清水優斗 (宮大農)、古里和輝、光田 靖、平田令子、伊藤 哲 |
林冠構造を詳細に把握することは、森林の物質生産研究に加えて、森林動態研究の基礎情報としても、また人工林の下層木を含めた林分構造の形成要因を知る上でも極めて重要である。群落高の高い森林では林冠構造の詳細が困難であり、多大な労力やコストがかかっていた。しかし近年は小型の無人航空機(UAV)が安価に提供されるようになり、取得される画像から林冠構造を解析するアルゴリズムも各種提唱されてきている。本研究ではこれらの新技術の有用性を検討する目的で、老齢人工林における詳細な林冠構造や林冠ギャップの把握を試行した。調査は宮崎県の三ツ岩遺伝子資源保存林(137年生スギ林)および周辺の若齢・壮齢林分で行った。UAVによって各林分の林冠を上面から撮影し、林冠の三次元構造およびギャップの空間分布推定を行い、森林動態研究や人工林の多様性研究への適用可能性を森林動態および多様性研究への応用可能性を検討したので報告する。
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