307
生分解性ペーパーポットを用いたスギ挿し木苗育成の試行
古里和輝
(宮大農)、平田令子、長倉良守、伊藤 哲
主に農業や茶業で利用されているペーパーポットは、生分解性のポットごと苗を植栽できるメリットがある。したがって、これを林業種苗に活用できれば、コンテナ苗と同様に植栽時期を選ばずに植栽できるメリットに加えて、植栽時の苗の抜き取り作業等の負担軽減が期待される。また、残苗の低コストな再利用技術の開発につながる可能性もある。しかし、ペーパーポットを林業種苗に利用した事例は少なく、育苗段階での根系発達や植栽後の成長については不明な点が多い。そこで本研究では、スギの挿し穂と根切りした前年の残苗をそれぞれペーパーポットとコンテナへ挿し付けて育苗する実験を行った。使用したペーパーポットは蔬菜用を改良したもので、一部には簡易リブを試験的に設置して使用した。本講演では植栽したスギ挿し穂および残苗の新規の発根と根系発達状況を比較した結果を報告する。

308 夏季植栽直後のコンテナ苗培地の水分状態
田中沙耶香
(宮大農)、平田令子、長倉良守、伊藤 哲
コンテナ苗は夏季植栽においても水ストレスが発生しにくく、裸苗よりも活着が良いとされている。その理由として、発達した根系とともに、コンテナ苗に用いられる培地の特性が考えられる。ココピート等のコンテナ培地は保水性が高く、植栽直後の苗木の活着過程で森林土壌よりも水分を保持することで、苗木の水分ストレスを緩和している可能性がある。一方、発達した根系と一体化した培地は、植栽後の苗木の蒸散に伴う水分吸収によって周辺の森林土壌より水分が失われやすく、水分ストレスの緩和には実質的に寄与しないことも十分に予想される。しかし、コンテナ苗植栽後の培地の水分状態の挙動とこれによる水ストレス緩和の効果は不明である。本研究では、コンテナ苗培地の水ストレス緩和機能を検証する目的で、スギコンテナ苗と裸苗を夏季に植栽し、コンテナ培地、裸苗根圏内の土壌および苗木周辺の土壌の水分挙動を継続的に計測したので、その結果を報告する。

309 スギコンテナ苗の根鉢サイズが植栽後の成長に与える影響
松本 純
(大分県林研)、佐藤 嘉彦
健全な森林を維持するためには主伐時に再造林を実施する必要があるが、木材価格の低迷により再造林放棄地が増えてきていることから、林業の低コスト化が喫緊の課題となっている。その取り組みの一つとしてコンテナ苗を活用した一貫作業システムが注目されており、コンテナ苗に関する試験研究が全国的に盛んに行われている。コンテナ苗は植栽時期を選ばないなど優れた特徴を有する一方で、裸苗よりも育苗コストと植栽地内での運搬コストが大きいことが指摘されている。更なる低コスト化のためにはコンテナ苗の根鉢サイズを小さくすることが有効であると考えられるが、容量の違いによる初期成長に関する文献は少ない。そこで本研究では異なる容量(300cc、150cc)のコンテナ苗を植栽し、初期成長の差を比較した。