407 |
マングローブ樹種ヒルギダマシ(Avicennia marina)の耐乾性試験
|
---|---|
楠城時彦 (林育セ西表) |
乾燥と高塩濃度は、高等植物の成長に大きく影響する非生物学的な環境ストレス要因である。このため植物は、乾燥ストレスや塩ストレスに対するさまざまな応答機構や防御機構を発達させている。両ストレスに対する植物の細胞レベル・分子レベルでの応答機構には共通点があり、耐塩性植物の多くが高い耐乾性をもつことが知られている。本研究では、耐塩性植物の乾燥条件下での水利用を調べるために、マングローブ樹種のヒルギダマシ(Avicennia marina)をもちいて生態生理学的解析を行った。胎生種子をバーミキュライトに播種し、発芽後の実生苗を1×Hoagland培地で35日間栽培した。その後、実生苗をもちいて水切り試験を行った結果、海水で前処理した苗は未処理のものよりも高い耐乾性を示した。また、暗黒下で同様の実験を行うと、光条件下よりも海水処理区と対照区の差が明確となった。本発表では、耐塩性植物の水利用と耐乾性について生理学的・熱力学的考察を試みる。 |
408 |
キイチゴ属2種における野外条件での個葉の光合成特性
|
---|---|
廣瀬雄基 (九大生資環)、 作田耕太郎 |
森林群落において伐採などによって林冠にギャップが発生すると、飛来種子や土中の埋土種子、あるいは伐根による群落の更新が起こる。群落更新の初期段階に実生によって多く出現する樹種は先駆性樹種と呼ばれる。キイチゴ属種のクマイチゴとナガバモミジイチゴは先駆性樹種であり、地下茎による旺盛な繁殖によって急速に群落を拡大する。この同属2種の生活史は非常に共通性が高いものの、群落の分布には偏りがある。発表者らは、これまでにクマイチゴは強光条件、ナガバモミジイチゴは比較的中庸な光条件に多く分布することを明らかにした。本研究では、これらのキイチゴ属2種について、野外条件での個葉のガス交換速度の測定に加え、個葉の解剖学的観察やクロロフィル濃度の測定などを行うことで、光合成特性の種間差について検討した。 |
409 |
マダケ当年葉の光合成速度の稈齢にともなう変化
|
---|---|
大原 遼 (九大農)、作田耕太郎 |
タケ類はイネ科の多年生植物であり、毎年新竹が出現する性質などから古くから里山の重要な資源の一つとして利用されてきた。近年では利用量の減少や、管理者不足による竹林の拡大と周辺地域への侵入が問題となっている。タケ類の生物学的特性を明らかにしていくことは、上記のような社会的問題を解決するうえで重要と考えられる。本研究では福岡市西区の九州大学伊都キャンパス内に存在する放置竹林を対象として、稈齢の異なるマダケの当年葉における最大光合成速度の測定を行った。測定には携帯型光合成測定装置を用い、対象は同一林分内の、当年生の新竹から2年生のものまでとした。さらに、測定を行った葉を形態的に定量することからマダケの葉の生理的機能と形態との関係性についても検討した。 |