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林地斜面におけるスギ第二世代精英樹候補木の初期成長と葉におけるクロロフィル濃度
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石川達也 (九大生資環)、作田耕太郎 |
初期成長の優れた苗木の開発は、再造林費用の削減の有効手段であり、林業の収益性の向上に資すると期待される。林業低コスト化の実現に向けてスギ精英樹第二世代の特性評価が行われている。本研究では、鹿児島県森林総合技術センターにおいて、3年生のスギ精英樹第一世代およびスギ精英樹第二世代候補木(F1)の林地での初期成長と光合成能との関係評価を行うことを目的とした。全植栽木を対象とした樹高の測定結果と植栽位置をもとに光合成能評価個体を選定し、葉中クロロフィル濃度と樹高成長との関係性について検討した。クロロフィル濃度は分光光度計で求めた。F1は第一世代よりも優れた樹高成長を示し、斜面上部ではF1と第一世代の樹高成長の差が顕著だった。また、生育場所に関係なく、F1の葉中クロロフィル濃度は第一世代よりも高かった。葉中クロロフィル濃度の高さに裏打ちされた、F1の光合成能の高さが伸長成長の良さとして表れたものと考えられた。 |
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スギ挿し木における発根過程の解剖学的特徴と内生植物ホルモン
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中村 凌 (宮大農)、雉子谷佳男、平田令子、伊藤 哲 |
近年、戦後に造成された造林地の皆伐・再造林が活性化しており、効率的な苗木生産体制の構築が望まれている。九州では古くからスギの挿し木苗が利用されているが、育苗技術を高度化していく上で必要とされるスギ挿し木の発根プロセスやそのメカニズムについては、現在でも不明な点が多い。挿し木の発根プロセスとして、挿し穂基部や摘葉部におけるカルス形成のステージと、その後の発根および根系発達のステージとが報告されている。しかし、発生する根の原基がカルスであるのか他の分裂組織等であるのかは正確に把握されていない。そこで本研究では、挿し木のカルス形成と発根との関係を解剖学・生理学的に確認することを目的として、スギ挿し穂からのカルス形成および発根過程における組織構造を詳細に観察するとともに、内生オーキシンおよびサイトカイニン量を測定したので報告する。 |
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春期および秋期採取のスギ挿し木発根性と内生植物ホルモン量
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斎藤健太郎、秋丸民花、城丸あかり、雉子谷佳男 (宮大農) |
スギ挿し木の発根メカニズムは不明な点が多く、オーキシンおよびその前駆物質が発根促進剤として利用されるものの、内生植物ホルモン量と発根性に関する知見は極めて少ない。7および14年生のスギ(品種不明)と8年生スギ品種(少花粉スギ)からさし穂を採取し、挿し木発根性試験をおこなうとともに、挿し木時点および挿し木2ヶ月後の内生植物ホルモン量を測定した。シロイヌナズナ等のモデル植物では、tZ型サイトカイニンが根からシュートへ求頂的に移動する情報伝達物質として注目されている。そこで、本研究では、オーキシン(IAA)およびサイトカイニン(tZ、 iP、 tZR)の働きに注目し、挿し木のカルス形成と内生オーキシンおよびサイトカイニン量との関係について調べたので報告する。 |