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3年生スギさし木クローンの応力波伝播速度による評価
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倉原雄二
(林育セ九州) |
次世代のスギ品種の開発を現在よりも効率的かつ短期間に行うためには若齢時に形質の評価を行うことが望ましい。スギの樹幹の応力波伝播速度と丸太のタッピング法により測定した動的ヤング係数の間には高い正の相関があることが知られおり、樹幹のヤング係数の評価には立木時の応力波伝播速度を測定する手法が広く用いられている。樹幹の応力波伝播速度の測定手法は壮齢木のみならず、若齢の個体に適用することが可能であり、10年生やより若齢の2年生の個体においても適用が可能である。また、若齢木の応力波伝播速度と壮齢木の応力波伝播速度には相関関係があることが報告されており、若齢時の応力波伝播速度を元に早期選抜の可能性が示唆されている。しかし、若齢での応力波伝播速度の測定事例はまだ少なく情報の蓄積が必要である。今回、3年生のスギさし木において応力波伝播速度とタッピング法による動的ヤング係数を測定したので報告する。 |
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九州産スギ精英樹に対する雄性不稔スギ識別マーカーの適用
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郷田乃真人
(九大院生資環)、坪村美代子、栗田 学、田村美帆、渡辺敦史 |
「爽春」は林木育種センターにて選抜された雄性不稔スギ品種である。これまでの交配試験により、爽春の雄性不稔形質は一つの劣性遺伝子によって引き起こされることが明らかとなっている。爽春はスギ精英樹と比べ成長特性が劣ることから、精英樹と同等の成長特性を持つ雄性不稔スギ品種開発に向けて、精英樹花粉親との交配によるF2集団の作出がなされてきた。さらに、これらF2集団を用い連鎖解析が行われた結果、雄性不稔形質と強く連鎖するゲノム領域が特定された。雄性不稔形質と強く連鎖するゲノム領域近傍の遺伝子をマーカーとすることで、爽春家系内では高確率で可稔・不稔に関する稔性の識別が可能であると明らかになっている。今回、爽春と血縁関係にないスギ精英樹クローンについてこれまでの開発したマーカーを適用すると共に、ゲノム領域近傍に存在する複数の遺伝子の中で、どれが最も原因遺伝子に近傍であるか、評価したので結果を報告する。 |