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接種検定によってクロマツ樹体内に侵入したマツノザイセンチュウの頭数評価
山口莉未
(九大院生資環)、松永孝治、渡辺敦史
クロマツ樹体内におけるマツノザイセンチュウ(Bursaphelenchus xylophilus、以下、線虫)の頭数測定には、ベールマン法が一般的に用いられているが、目視による測定は、労力や精度の面で難がある。そこで、本研究では、線虫のDNAマーカーを用いて線虫頭数の測定を試みた。マツ木片と線虫を混合したサンプルを用いてリアルタイムPCR法で絶対定量を行った結果、樹体内の線虫を1頭から定量的に評価することが可能であった。本技術は様々な目的に応じて樹体内での線虫の挙動や増殖過程を明らかにすることができると考えられる。その一例として、線虫接種後のクロマツ樹体内への線虫の侵入頭数を経時的に評価し、その侵入過程を追跡したので報告する

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九州地域におけるクロマツのマツ材線虫病抵抗性の遺伝解析
松永孝治
(林育セ九州)、武津英太郎、倉原雄二、栗田 学、大平峰子、倉本哲嗣
マツ材線虫病の中長期的な対策として、九州育種場はクロマツとアカマツの材線虫病に対する抵抗性育種を実施してきた。これまでに抵抗性品種を選抜し、品種の実生抵抗性を評価するために野外の被害林分や抵抗性採種園から採取した種子や抵抗性品種を人工交配して得た種子を養苗し、それらの苗に苗畑で線虫を人工的に接種してきた。ここではこれまでの線虫接種の結果をとりまとめ、クロマツのマツ材線虫病抵抗性の遺伝解析結果について報告する。