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熊本県甲佐町に植栽したスギ人工交配家系11年生林の初期成長量
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金谷整一
(森林総研九州)、酒井佳美、松井由佳里、高田琢也、緒方久美子、松永 順、松永道雄、上野真義、松本麻子 |
熊本県甲佐町にある熊本県林業研究指導所の舞原試験地において、2005年4月にスギの人工交配家系(YI家系)のF2クローンが約450個体(150個体×3反復)植栽された。これら全個体を2015年11月に伐倒し、胸高直径、樹高、生枝下高および主軸の当年伸長量等を測定した。本調査から得られた結果から、各クローンの初期成長等の特徴について報告する。 |
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九州のヒノキ検定林における検定林内の微小環境と個体の成長との関係
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武津英太郎
(林育セ九州)、松永孝治、倉原雄二、栗田 学、倉本哲嗣 |
樹木の成長は遺伝と環境の両者の影響を受ける。林木育種においては、遺伝とマクロ環境の交互作用が小さい地域を決定し、その中で微小環境の影響を取り除き遺伝的に能力の高い系統を評価し、優良な家系の選抜を目指している。しかしながら、これまでに九州育種基本区ではスギと比べてヒノキは同一検定林内においても家系内のバラツキが家系間のバラツキよりも相対的に大きく、遺伝性が低く評価されることが報告されている。これにより、各検定林における遺伝的評価の精度が低下し、さらに遺伝とマクロ環境の交互作用の評価も困難となっている。今後の九州育種基本区における林木育種を進めるにあたり、低い遺伝性の原因を明らかにし、遺伝的評価の精度を向上させることが望ましい。遺伝性が低く評価される原因として、遺伝的変異が本質的に小さい可能性と、試験地内の微小環境の影響を受けやすいために家系内のバラツキが増大している可能性が想定される。本研究ではGISにより検定林の地形等の微小環境を推定し、微小環境と個体の成長との関係の評価を試みた結果について報告し、遺伝的評価の精度向上の可能性についての検討を行う。 |
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ニッケイにおける肥大・伸長成長フェノロジーについて
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玉城雅範
(沖縄県森研セ) |
沖縄県においてニッケイは、自生している固有種として菓子の香料等として有望であり、種子による繁殖及び山取りによって苗を確保している。しかし、大量にかつ安定的に苗木を生産するためには、種子からの増殖が有効であるが、本県では個体数が少ないことなどから大量の種子採取が困難である。そのため、挿し木等による大量増殖技術の確立が急務である。一方で、本県におけるニッケイの成長特性の報告はない。そこで、本研究において、挿し木等の増殖技術の基礎となる肥大・伸長成長フェノロジーについて明らかにした。その結果、4月から7月にかけて肥大成長を行い、新芽の発生は特に8月で多く確認された。 |