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擬似的に日変化をさせた温度条件で15℃以下の低温に11回と32回暴露させた時のマツノマダラカミキリ越冬幼虫の蛹化率
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吉田成章
(所属なし) |
2015年7月16日から19日にかけてマダラカミキリに産卵させたマツ小丸太を室温に置き、9月10日に幼虫を取り出し、マツ樹皮を詰めたプラスチック容器33個に1頭ずつ入れ、25℃を下回らない制御槽で飼育した。10月28日に最高温度27℃、最低温度23℃の日変化に制御した変温槽に移した。このうち15個を12月2日から11日間、18個を32日間最高気温21℃、最低気温13℃の条件においた。その後は27-23℃で飼育した。2016年3月5日に飼育容器から幼虫を取りだし、ガラス管ビンに収容し蛹化を調べた。この時の生存数は11回暴露が13頭、32回暴露が15頭であった。8月10日の段階で、11回暴露が蛹化15%、死亡54%、幼虫31%、32回暴露が蛹化33%、死亡27%、幼虫40%になった。2013年の1回暴露試験の蛹化率25%、2014年の2回と3回の暴露の58%、33%と同等であった。死亡率、生存率ともに低温回数との関係は見られなかった。
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クロサワオオホソカタムシ(Dastarcus kurosawai)の卵の収集方法と卵接種法によるマツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)幼虫へ殺虫効果
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喜友名朝次
(沖縄県森研セ)、清水優子、玉城雅範 |
マツノマダラカミキリ(以下、M.a)の天敵クロサワオオホソカタムシ(以下、D.k)の雌成虫は、産卵材(ティッシュ)に30~50個の卵塊を産み付けるが、近年から水溶紙へ産卵させ、水に溶かした卵(以下、水処理卵)を多数集めることができるようになった。D.kの水処理卵は、ふ化率とM.a幼虫への寄生率が無処理区と同等で水処理による影響は低く、また、被害マツ丸太へ水に入れた卵を接種すると材内の蛹室数に対するM.a幼虫の生存率は4%と低い値となった。今回の発表では、野外における松くい虫被害丸太へD.kの水処理卵を接種し、M.a幼虫に対する殺虫効果について報告する。 |
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デイゴヒメコバチに対する天敵デイゴカタビロコバチの網掛け条件下での防除効果
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安田慶次
(沖縄県森研セ)、喜友名朝次、清水優子 |
デイゴヒメコバチQuadrastichus erythrinae (以下EGW)の天敵デイゴカタビロコバチEurytoma erythrinae(以下天敵)をハワイから沖縄に導入し、網掛けポット試験で効果を検討した。H26年は1世代(天敵)のみを調査したが、天敵放飼区のEGW羽化成虫数は無放飼区の半分程度となった。H27年には天敵を再放飼し3世代にわたり検討した。放飼後1ヶ月目の放飼区のEGW成虫数は無放飼区の50%に抑制された。しかし、その後、無放飼区のデイゴの新芽はEGWの被害により多くが枯死するか、僅かとなり、EGWが産卵し生育できる状態ではなく、そのため個体数も著しく減少した。一方、放飼区は葉が茂り、新芽が形成され、EGWの個体数も低密度で維持された。H28年は大苗を用いた露地植え網掛け試験を実施中で、この結果も合わせて報告する。 |