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樹幹流が表面流および土壌侵食に及ぼす影響-樹種および樹冠サイズの比較-
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山岸 極
(宮大農)、伊藤 哲、高木正博、平田令子 |
ヒノキ林は林床が裸地化しやすく表土流亡が激しいことが指摘されている。表土流亡の原因となる雨水は林内雨および樹幹流となって、林内に流入する。雨滴による衝撃が表土浸食を引き起こすことやそれがヒノキ林の表土流亡に関連することは多くの研究により報告されている。一方、樹幹流は樹木の根元を侵食することが報告されているが、その研究事例は雨滴に着目したものよりも少なく、ヒノキ人工林における表土侵食との関連性については明らかでない。本研究はヒノキ林の樹幹流による表土侵食の実態を明らかにするために、樹冠サイズや樹種による林冠構造の違いに伴う樹幹流量の変化に着目して、樹幹流が表面流および表土侵食に与える影響を評価することを目的とした。調査は植栽されたヒノキと天然のシイ類を対象に樹幹流量および対象木の根元の土砂移動量、表面流量を測定した。これらのデータを基に樹幹流が表土侵食に与える影響を評価した。 |
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一流域内の渓流水質の形成過程について
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高島靖文
(宮大農)、高木正博 |
森林内の渓流水質が健全に保たれることは、生態系や人間の生活にとって重要である。しかし、水質形成のプロセスについては未解明のことが多い。そこで、流域内の渓流水質の起源による影響や流量による影響を明らかにすることを目的として調査を行った。調査は広葉樹壮齢林を流域植生とする流域を対象とし、採水は湧水点から量水堰の間で行った。渓流水のほかに、土壌水や岩からしみだしている水も採取した。期間は2012年10月から2013年9月までの1年間で、2週間に1度採水を行った。測定項目はpH、電気伝導度、溶存イオン濃度、全窒素、有機態炭素であり、溶存イオンはイオンクロマトグラフィーとICPによって分析した。測定したpHおよび電気伝導度、分析した溶存イオン濃度、全窒素、有機態炭素の採水地点による変化と流量による変化を比較し、考察する。 |
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針葉樹と広葉樹苗木の硝酸還元酵素活性に対する窒素施肥の影響
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小田木由紀
(宮大農)、高木正博 |
窒素は植物の必須元素の一つであり、森林生態系内において植物生育の制限要因である。近年、都市部を中心に人間活動による窒素沈着が増加している。森林生態系内の窒素供給量の変化は、森林生態系の物質循環を変化させる可能性がある。これまでに樹木に対する窒素施肥の影響について多数の報告がされてきたが、植物の硝酸態窒素同化の指標となる硝酸還元酵素活性に関しての報告はされていない。本研究では、窒素施肥によるスギ、ヒノキ、コナラ、アラカシ、スダジイの硝酸還元酵素活性の変化を明らかにすることを目的とし、窒素施肥区と対照区の5樹種の葉と細根の硝酸還元酵素活性を測定した。宮崎大学附属田野演習林の苗畑に窒素施肥区と対照区を設置し、窒素施肥区にはこの地域の大気からの窒素供給量の5倍相当の硝酸アンモニウム溶液を2016年6月から毎月1度の頻度で散布した。これらの結果をもとに、広葉樹と針葉樹の窒素施肥による影響を考察する。 |