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気候変動がシイタケ子実体発生等へ及ぼす影響
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小畑 明
(宮崎県林技セ) |
現在のまま温暖化が進行すると、環境省、文部科学省、気象庁が共同で作成したレポートによると日本の平均気温は21世紀末には約2.1℃~4℃上昇すると予測されており、原木シイタケ栽培においても様々な影響を受けると想定される。そこで、温暖化が及ぼす影響を検証するために、気温や降水量等を自由に設定できる人工気象室2基を用いて試験栽培を行った。今回は、過去30年の平年気温を平年気温区(対照区)として設定し、平年気温区に単純に+4℃した高温区を設け、中温性品種と低中温性品種を植菌したほだ木を用いて子実体の発生量と発生時期を調査したので、その結果を報告する。 |
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シイタケ原木栽培における特定防除資材を用いた害菌対策に関する研究II
-害菌類の培養菌糸に対する食酢処理の効果について- |
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宮崎和弘
(森林総研九州)、中武千秋、新田 剛 |
昨年の発表において、食酢はシイタケ原木栽培における害菌類の1種であるHypocrea lacteaの培養菌糸に対して、殺菌効果があることが示唆された。今回、その効果を明らかとするため、同様の試験を繰り返し行い、殺菌効果の程度についての検証を行った。また、H. lactea以外の害菌類に対する殺菌効果について、同様の方法により検討した。 |
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ハラアカコブカミキリ幼虫の人工飼育の改良
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小坂 肇
(森林総研九州)、高畑義啓 |
ハラアカコブカミキリはシイタケほだ木の害虫で日本本土への侵入種である。そのため、その生物学的な特徴を詳しく知るために、人工飼料による飼育法(人工飼育)が開発された。人工飼育では容量100mlの三角フラスコを飼育容器として用いるため、飼育に必要な面積に対して飼育と無関係な空間が上部に発生する。また、人工飼料を20g入れた人工飼育では少なからぬ量の飼料の食べ残しも観察された。そこで、人工飼育の改良を試みた。飼育容器には容量25mlあるいは50mlの遠沈管を用い、飼料の量は16gとした。これらの飼育法でもハラアカコブカミキリは成虫まで飼育できたが、羽化した成虫の10%程度が奇形であった。しかし、遠沈管を飼育容器にした場合、三角フラスコより飼育に要するスペースを大きく低下させることができ、また、人工飼料作製の時間も短縮できた。これらからハラアカコブカミキリの幼虫を多数飼育したい場合にこの飼育法は有効であると考えられた。 |
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ハラアカコブカミキリの防除法(2)-耕種的防除法と振動による落下捕殺の試み-
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村上康明
(大分県きのこ) |
ハラアカコブカミキリは国内では当初長崎県の対馬にのみ生息していたが、1970年代にほだ木の移入に伴って大分県に侵入・定着したシイタケほだ木の害虫である。その後分布を広げ、現在では北部九州一帯と中国、山陰地方にまで生息域を広げている。この害虫は、越冬成虫が4月頃からシイタケ菌接種後の伏せ込み場所に出現してほだ木に産卵する。幼虫は樹皮直下を食害して成長したのちに蛹化し、9~10月に成虫が出現する。このハラアカコブカミキリの無農薬による防除法を研究している。今回は耕種的防除法について新たな知見が得られたので報告する。また当該昆虫をセンサにより検知して落下させ、粘着シートによって捕殺する方法を検討したので、その結果についても発表する。 |