808
栄養体の組成および量がアラゲキクラゲの発生に及ぼす影響
川口真司
(大分県きのこ)、有馬 忍
クヌギを利用したアラゲキクラゲ菌床栽培技術を確立するために、培地の栄養体組成および栄養体量を検討した。培地の栄養体に米ぬかとふすまを用いて、その混合重量比を変えて発生試験を行った結果、ふすまのみを用いた菌床は菌床底面に菌糸がほとんど蔓延しなかった。発生量は森89号では米ぬかとふすまを1:1で混合した菌床で多く、AP803は栄養体の組成による影響はなかった。培地の栄養体の量を変えて発生試験を行った結果、森89号は培地重量の10%で発生量が多く、AP803は培地重量の5%で発生量が多かった。

809
アラゲキクラゲの簡易施設栽培について
前田由美
(佐賀県林試)
近年、菌床アラゲキクラゲ生産が増加傾向にあり、県内でも生産者が増加している状況である。しかし、アラゲキクラゲ栽培技術について明らかになっていない点も多い。そこで、屋外に簡易な栽培棚を設置し、アラゲキクラゲ菌床栽培における培養日数の検討、発生時期の検討、散水方法、散水回数の検討を行った。培養日数は60日培養より40日~50日培養で収量が良かった。また、栽培時期としては5月中旬~6月中旬において安定して栽培できた。また、散水はホースによる手掛け散水区よりエバフローによる散水区において有意に収量が良好であった。また、散水回数として60分の散水を1日1・2・3回の3試験区で比較したところ、1日2回散水区において最も収量が良かった。

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簡易施設におけるアラゲキクラゲの子実体発生に関する一考察
関谷 敦(森林総研九州)
簡易施設において、予め60日間培養したアラゲキクラゲ(森89号)の約2.5kg培養菌床を5月から7月に掛けて2週間毎に袋に切れ込みを入れる発生操作を行い、子実体を発生させた。簡易施設では子実体発生を促進するため散水・換気操作による温湿度調整を行った。発生操作から初回の子実体収穫までの初回発生日数は 、発生操作が5月中旬より5月下旬の方が短くなり、6月中旬以降はほとんど初回発生日数の差がなかった。また、5月下旬以降の発生操作は、初回子実体収穫から2回目子実体収穫までの日数がほぼ同程度であった。

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アラゲキクラゲ原木栽培技術の検討
三井幸成(熊本林研指)、遠山昌之
国内産アラゲキクラゲ需要の高まりを受け、熊本県内においてアラゲキクラゲ原木栽培を行う事例がみられる。しかし、菌床栽培に比べ生産性が低いため本格的な栽培事例は少なく、また原木栽培を行う上で重要な収量を増やすための栽培技術に関する研究事例は少ない。そこで今回、身近な広葉樹資源を活用し、小規模でも生産を開始できる原木栽培技術について、熊本県内で身近な広葉樹の適応、子実体発生期の散水条件、保湿のための被覆資材、低コスト化・省力化に向けた植菌数及び伏せ込み、発生操作方法について検討したので、その内容を報告する。