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スギおよび雑草木樹高の相対関係による下刈り終了基準の検討
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福本桂子 (九大生資環)、太田徹志、溝上展也、吉田茂二郎、寺岡行雄、加治佐 剛 |
持続的な森林経営を行う上で,低コスト造林技術の確立が重要となっている。その中でも下刈りコスト削減の技術体系の確立が求められてきた。近年,スギの樹高やスギと雑草木の樹高の相対関係から,具体的な下刈り終了基準が提示されつつある。しかし,これらは現地データを用いて定性的に議論した事例が多く,統計モデルを用いて定量化した事例は少ない。そこで本発表ではスギ樹高と雑草木樹高の相対関係から下刈り終了基準を明らかにすることを目的に,スギ樹高成長モデルと雑草木樹高成長モデルを用いて両者の競争関係をシミュレーションした。スギがどの程度の高さになれば雑草木との競争から抜け出し,下刈りが不要になるかを検討し,その結果を報告する。 |
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シカ食害軽減と下刈り省略を目的としたスギ中苗植栽における葉量調節の検討
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伊藤 哲 (宮大農)、田中沙耶香、新保優美、平田令子、古川浩児、梶丸正幸 |
造林コスト削減方策のひとつとして、苗高70~100㎝程度の「中苗」の活用が考えられる。初期樹高の高い中苗には梢端の食害回避や下刈り期間の短縮等のメリットが想定される。一方、中苗は根量に対して葉量が多いため植栽後に水分バランスを崩す可能性があり、出荷時の形状比が大きいと傾斜・倒伏のリスクも増大すると予想される。そこで本研究では、中苗植栽時の適切な葉量を明らかにすることを目的として、スギコンテナ中苗の植栽時に摘葉処理(樹冠長比25%、50%、75%)を行い、植栽後の水ストレス、成長および幹傾斜を定期的に調査した。その結果、摘葉率の大きい苗では植栽直後に水ストレスが回避される傾向があった。摘葉率の小さい苗では初期に著しい幹傾斜が観察されたが、植栽3か月後にはほぼ直立に近い状態に回復し、摘葉率の大きな苗よりも良好な成長を示した。講演では植栽7カ月後までのモニタリングに基づき、適正葉量について検討した結果を報告する。 |
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シカ被害防止対策用単木保護資材(ツリーシェルター)による造林木への成長等に及ぼす調査報告
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池水寛治 (九州局技セ)、山下義治、梶丸正幸 |
九州地域においては、造林木への食害等シカ被害防止対策としてシカネット設置が主流であったが、近年、単木的に保護する単木保護資材が開発され各地で設置されている。当センターにおいても、技術開発試験地において単木保護資材(ツリーシェルター)を設置し、シカネットとの設置コスト比較やツリーシェルターを設置した造林木とシカネット内の造林木との成長比較調査を行っている。調査を進める中で、ツリーシェルター内の造林木が他の造林木と比較して良好な上長成長を示す一方で、植栽木の3割程が植栽後1年以上経過した段階で枯死するものや、造林木の先端部が変形するなどの現象が確認された。本報告では、ツリーシェルター内の造林木が枯死や変形等を起こした原因の究明に向けた各種調査の結果とツリーシェルター設置時の注意点等について報告する。
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