401
センダンの成長の季節変化と芽の発生状態による芽かきのタイミングの検討
横尾謙一郎
(熊本県林研指)
センダンは成長が極めて早く、材が高値で取引されているため、熊本県では造林に適した広葉樹として推奨している。しかし、一般的にみられるセンダンは幹が低い位置で分岐しているため、直材の生産が困難である。そこで、本県が開発した「芽かき」を春季と夏季に実施することによって、幹を通直にすることが可能となった。センダンの芽かきは、春季は幹から芽が展開した直後に実施すればいいので容易であるが、夏季は葉の付け根から発生した芽を除去しなければならないので、労力の面からも実施のタイミングの検討が必要である。そこで、本県で選抜している数系統のセンダンにおいて樹高、直径の季節変化および夏季に発生する芽の数・形態について調査し、適切な芽かきのタイミングについて検討したので報告する。

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国指定天然記念物「立田山ヤエクチナシ自生地」におけるクチナシの開花
金谷整一
(森林総研九州)、竹原千晶、江野優里子、下村荘乃、西田奈央、福島裕基、田嶋隆文、瀬上眞由美、松永 順、松永道雄
熊本市の立田山では、一重咲きのクチナシに混じって9株の八重咲き個体(ヤエクチナシ)が自然分布することが1920年に発見され、その自生地が1929年に「立田山ヤエクチナシ自生地」として国指定天然記念物に指定された。その後は盗掘に加え、戦時中および戦後の全山伐採により絶滅したとみられていたが、1969年に1株が再発見された。この再発見された個体も数年後には消失した。この自生地は、森林総合研究所九州支所の実験林内にあり、毎年、開花調査を実施してヤエクチナシの再発見が試みられている。本報告では、前報(金谷ら2013)に引き続きクチナシの開花調査を継続するとともに、林冠層を構成する樹種のかく乱によって開花率等が変化した事例を整理し、再発見にむけた自生地の管理のあり方について議論する。