601
シカによるクヌギ萌芽枝食害防止のための伐採高の検討
井上万希
(宮崎県林技セ)、小田三保
 シイタケ原木として利用されるクヌギは、一般に萌芽により更新が行われている。一方で、近年シカによる造林地での食害が深刻化しており、クヌギ林でも萌芽の食害により更新が困難な箇所が増えている。本研究では、防護柵や電気柵の代わりとなる新たな食害防止策の可能性を検討するため、宮崎県日之影町のクヌギ林において、萌芽枝がディアラインを早期に超えるよう伐採高を変えた試験地を設置し、発生萌芽の食害状況調査及び成長調査等を行ったので報告する。

602
デコイを使ったニホンジカの誘引について
豆田俊治
(大分県林研)
 ニホンジカ(以下、シカ)の生息域の拡大及び個体数の増加により、農林業や自然植生は深刻な影響を受けている。大分県ではドロップネット等のワナによる多頭捕獲に力を入れているが、捕獲の成果は誘引技術に大きく左右されるため、効果的な誘引技術の開発が求められている。一方、海外ではシカ猟においてシカをおびき寄せるためのおとりとして使われる実物大模型のシカデコイ(以下デコイ)が市販されており、デコイは、省力的捕獲を目的としてシカを局所的に誘引できる有効な捕獲補助器具としての効果が期待できる。そこで本研究では、自動撮影カメラを用いてデコイに接近するシカの様子を観察する誘引試験を実施した。その結果からデコイの誘引効果や課題を検証したので報告する。