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クロマツと外国産のマツのF1に形成されたマツバノタマバエの虫えいの形状と幼虫のサイズの比較
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曽根晃一
(鹿大農)、内門 貴、畠中友浩 |
虫えい形成昆虫では寄主特異性が認められ、マツ属の害虫であるマツバノタマバエも、虫えい形成は、Sylvestres亜節のマツに限られる。しかし、外国産のマツに形成された虫えいは国産のマツに形成されたものより大きく、本種の虫えい形成に対する寄主植物の反応が樹種間で異なることが示唆された。クロマツは外国産のマツとの交雑が容易で、F1雑種に形成された虫えいや幼虫のサイズを親の樹種と比較することで、F1はどちらの親の性質をより多く受け継いでいるのか推察できる。そこで、クロマツとタイワンアカマツのF1とF2、クロマツとニイタカアカマツ、ウンナンマツ、マンシュウクロマツのF1に形成された虫えいの形状と本種の幼虫のサイズを計測し、親のマツと比較した。 " |
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擬似的に日変化をさせた温度条件で15℃以下の低温に62回暴露させた時のマツノマダラカミキリ越冬幼虫の蛹化率
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吉田成章 | 2016年7月6~9日にマダラカミキリ成虫に産卵させたマツ小丸太を室温に置き,8月1日に幼虫を取り出し,マツ樹皮を詰めたプラスチック容器30個に1頭ずつ入れ室温で飼育した。9月1日に最高温度27℃,最低温度23℃の日変化に制御した変温槽に移した。12月2日から2月1日まで62日間,15個を最高温度21℃,最低温度13℃(13-21℃区)に、15個を最高温度17℃,最低温度13℃(13-17℃区)の条件においた。2月2日以降27-23℃で飼育した。2017年4月1日に飼育容器から幼虫を取りだし,ガラス管ビンに収容し蛹化を調べた。生存数は13-21℃区が12頭,13-17℃区が7頭であった。蛹化は4月20日から6月19日の間に両区でそれぞれ2頭が蛹化した。7月21日の段階で,13-21℃区で死亡2頭,幼虫8頭,13-17℃区で死亡0頭,幼虫5頭であった。過去の1回(2013年)、2回と3回(2014年)、10回と31回(2015年)の暴露試験と同様に、すべての個体を蛹化させることはできなかった。 |
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マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)防除に向けた天敵クロサワオオホソカタムシ(Dastarcus kurosawai)の卵接種法に有効な資材の検討
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喜友名朝次 (沖縄県森研)、清水優子、玉城雅範 |
マツノマダラカミキリ(以下、M.a)に寄生する沖縄の天敵クロサワオオホソカタムシ(以下、D.k)を利用した松くい虫防除研究を行っている。これまでにD.kの成虫放飼試験と卵接種試験を実施してきたところ、被害丸太内のM.a幼虫に対して卵接種による方法が高い寄生率であることが明らかとなっている。そこで、D.kの卵を被害マツへ安全に接種するための資材を検討した。その結果、D.kは紙ひも材に好んで産卵し、累計623個の卵を確認出来た。また、産卵された紙ひも材をシャーレ内のM.a幼虫に接近させると全て寄生したため、卵接種法の資材として有効であることが期待できた。 |
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沖縄北部地域のリュウキュウマツ材線虫病被害先端地域の抽出
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酒井康子 (沖縄県森研)、伊藤俊輔、山本淳一郎、畑山健太郎、福島 新 |
"沖縄におけるリュウキュウマツ材線虫病被害は,2003年をピークに減少してきたが,2015年から増加傾向となっている。沖縄島北部のやんばる3村(国頭村,大宜味村,東村)は,過去に甚大な被害を受けているが,現在,松林が再生しつつある。しかし,周囲には激甚な被害が発生している地域があることから,飛び込み等による被害の再燃が懸念されている。このような地域では,被害先端地域を把握したうえで防除対策を実施する必要があることから,2015年から2016年にかけて,被害調査を行った。被害調査の方法は,Google Earth(2015年1月撮影画像)の衛星画像から枯死木の分布図を作成し,前年度に発生した枯死木の周辺地域を踏査した。新たな枯死木を発見した場合は,マツ材線虫病診断キット((株)ニッポンジーン)による線虫確認を行った。 " |