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桜島におけるマツノマダラカミキリのマツノザイセンチュウ保有状況の季節変化
川口エリ子
(鹿児島県森技セ)、曽根晃一、田實秀信、畑 邦彦
マツ材線虫病において,マツノマダラカミキリ(以下「カミキリ」)の生息数とカミキリのマツノザイセンチュウ(以下「線虫」)保有状況は被害の程度を左右する重要な要因である。曽根らは桜島のクロマツ林において,カミキリの侵入・定着期の1997年から,拡大期・ピーク期を経て終息に至る2013年まで,カミキリの生息状況や線虫保有状況を調べるためトラップを設置し,カミキリの捕獲およびカミキリからの線虫の分離を行った。その結果については,年ごとのカミキリ捕獲数や線虫保有状況を解析し,侵入・定着期からピーク期にかけては1,000頭以上の線虫を保有したカミキリの頭数が増加し,減退期以降は減少することなどを報告している。しかし,線虫保有状況の季節変化は材線虫病の被害量のみならず潜在感染にとって重要であるが、これについては明らかにされていない。そこで,カミキリの線虫保有状況の季節変化について解析を行ったので,その結果を報告する。

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沖縄に分布するマツノザイセンチュウの温度に対するreaction normの評価
小林 玄
(九大生資環)、玉城雅範、渡辺敦史
"約100年前に日本へ侵入したマツノザイセンチュウは、1973年に沖縄県でもその被害が確認され、現在では、沖縄本島を中心に離島においても被害が拡大している。一般に外来種の侵入・定着・拡大段階への移行には、新規環境が選択圧として働くため、選択圧への適応的応答が必要とされる。沖縄は、亜熱帯気候であり、本州とは気候区分が異なること、本種が自ら体温を制御できないectothermに分類されることから、非生物要因の中でも温度が主要な選択圧である可能性が高い。理論的に温度による選択圧の違いは、温度に対するreaction normの違いに反映される。そこで、沖縄で単離された本種の温度に対するreaction normを明らかにする。 "

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鹿児島県のサザンカにおける輪紋葉枯病の発病状況の季節変動
奥田絢子
(鹿大院農)、曽根晃一、畑邦彦
鹿児島県下で激害の見られる輪紋葉枯病のサザンカにおける被害状況の季節的な変動を探るために、野外観察を行なった。本病の病斑は2タイプあり、急速に拡大するタイプ(以下、縁なし)と周りが縁取られ拡大が抑えられるタイプ(以下、縁あり)に分けられた。縁なし病斑は葉全体まで拡大したものと拡大途中のものが見られた。縁なし病斑が形成された葉は脱落しやすく、枝が透けて見えるほど重篤な落葉を引き起こす場合もあった。縁あり病斑は縁の内側が白色のものと褐色のものに分けられた。褐色の縁あり病斑は形が不規則なものも確認された。縁あり病斑は通年観察されたが、縁なし病斑は梅雨から冬期に観察された。病斑上には微小な菌糸塊(以下、菌体)が形成されたが、白色の縁あり病斑では形成されなかった。菌体はほぼ通年観察されたが、夏期と冬期は形成量が少なくなった。また、激しい被害が見られた個体は調査期間を通して被害が観察され続けた。

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2014年に熊本県阿蘇地域に発生したスギ・ヒノキ人工林の集団葉枯れについて
宮島淳二
(熊本県林研指)、廣石和昭
"2014年に阿蘇市北外輪山及び阿蘇山上付近南斜面(南阿蘇村)において、スギ及びヒノキ人工林の集団葉枯れ被害が発生した。調査した結果、阿蘇市北外輪山の被害はスギハマキ(Homona issiki Yasuda)の食害によるものであることが判明した。一方、阿蘇山上付近南斜面(南阿蘇村)の被害は、火山ガス(SO2)暴露よるものであると思われた。両地点における被害後の調査結果を報告する。 "