904
シイタケ腐敗病の防除について
有馬 忍
(大分きのこセ)
著者らは,1996年から2014年に大分県内で発生を確認したシイタケ腐敗病は、腸内細菌科の一種Ewingella americanaに起因することを明らかにした(有馬ら,2010)。原因菌Ew. americanaは、原木林およびほだ場の土壌、伏せ込み中のほだ木上で褐変したシイタケ子実体、ほだ場で生育中の健全子実体株、褐変したミネシメジおよびヌメリスギタケ子実体から分離され、多くの菌株はシイタケに対して病原性を示した。これまでの試験結果と合わせて考察すると、原因菌は伏せ込み期間中のほだ木に感染し、ほだ場で発病することが推察されたことから、防除方法や被害軽減策を提案する。

905
シイタケ原木栽培における特定防除資材を用いた病原菌対策に関する研究III -食酢の希釈倍率を変えたときの病原菌類の培養菌糸に対する影響-
宮崎和弘
(森林総研九州)、新田 剛
これまでの研究により、シイタケの病原菌類の培養菌糸に対し、特定防除資材の1種である食酢(酸度:4.2%)の原液を使用した際に、その菌糸を死滅させる効果があることを確認した。しかし、現場でのコスト軽減を図るためには、希釈して使用しても効果が得られることが望まれる。そこで、希釈倍率を変えても効果があるのかを確認することとした。その結果、3倍希釈液ではある程度培養菌糸を死滅させる効果が認められたものの、9倍以上の希釈率では、効果が認められないことが確認された。

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異なる時期に伐採したクヌギの含水率と天然乾燥
溝口哲生
(長崎県農セ)、森口直哉
クヌギは県内において、ヒノキ、スギについで造林面積が広い樹種である。クヌギはこれまで主にシイタケ原木として利用されてきたが、近年は燃料としての利用も検討されている。木材を利用、加工する場合は、その含水率や乾燥特性を把握しておくことが重要である。そこで、今回、クヌギを異なる時期に伐採して、含水率を調査し、併せて丸太の長さや断面積等が乾燥速度に及ぼす影響を明らかにするため、天然乾燥を行ったので報告する。