907
ツバキの自家及び他家受粉における種子形成
古村善則
(長崎県農セ)、田島幸一、副山浩幸
ツバキの種子については一般的には果実一個の中に1~9個が含まれており、平均して長さ20~25 mm、巾15~18 mm、厚さ10~13 mm、重さ1.2~3.0 gであるとされている。しかし、ツバキは品種の選抜がされていないこともあり、その種子は個体ごとにばらつきが大きく、結実にも差がある。種子の収量の不安定さは生産者にとって大きな問題であり、収量の増加と結実の安定が求められている。そこで、ツバキの育成管理や交雑育種の助けになるような資料が得られればと考え、無受粉、自家受粉、他家受粉での結実の差を比較してみた。

908
ヒノキバヤドリギの種子飛散の時期と遮光法による駆除の効果について
柳本和哉
(長崎県農セ)、田嶋幸一、久保田晋輔、今村拓洋、原 大介、永島規晶
五島地域ではツバキ油が地域の特産品となっており、その原料はヤブツバキの種子であるが、近年、ヒノキバヤドリギがヤブツバキに寄生し、ヤブツバキを衰弱させている。ヒノキバヤドリギによる被害の分布区域やその生態、種子が飛散する際に糸状の粘着物質が出ることで幹や枝に付着することや、試験した猪木場ヤドリギ駆除の結果を前回報告した。今回、引き続き、ヒノキバヤドリギによる被害拡大の原因となる種子の飛散の時期と、ヒノキバヤドリギの遮光法による駆除の方法について調査を行ったので報告する。

909
マテリアル&エネルギー源としての竹バイオマス
田中良平
(森林総研九州)、横田康裕
竹の有効活用が九州各地で課題となっているが、今一つ決め手がないのが現状である。森林総研では4年ほど前に所内プロジェクトとして、バイオリファイナリーを目指して竹の構成成分の特性把握と利用に向けた基礎研究に取り組んだ。また、近年竹はエネルギー源としても注目を集めており、九州でも竹を原料とするバイオマス発電が試験的に始まりつつある。このように、放置竹林問題の解決や未利用資源の利用開発に向けて竹を有効活用することに対して様々なアプローチがなされており、本発表では最近の研究開発や事業の取り組みについて概括する。加えて、我々が実施した研究の一部として、竹由来のセルロースナノファイバーや竹抽出成分の抗菌性などについて紹介する。