801
熱帯モンスーン常緑林流域における水・土砂流出機構の解明-試験地の設置状況について-
壁谷直記
(森林総研九支所)、清水 晃、清水貴範、飯田真一、玉井幸治
世界では年間5.2万km2 の森林が消失しており、東南アジア諸国においても森林減少は深刻な問題である。森林伐採による土壌侵食量の増加は、河川下流の河床上昇を引き起こし、洪水氾濫のリスクを増大させる可能性がある。そこで、東南アジアで比較的豊かに森林が残っているカンボジアの熱帯モンスーン常緑林流域を対象に、土地利用の違いが水と土砂の移動特性に及ぼす影響を解明することを目的として、本年度から5年間の計画で観測研究を開始した。本年度は、森林率の大きく異なる2つの対象流域を踏査し、堆積土砂量の測定のために好適な場所を選定し、流出土砂を捕捉するための簡易ダムを設定した。また、現地での土砂移動量の実態を把握するために、侵食ピンプロットを作成し観測を開始した。本発表ではこれらの研究計画の概要とともに、試験地設定の状況を報告する。

802
沖縄本島北部森林地域における各種施業実施後の森林現況について(I)
新垣拓也
(沖縄県森研セ)、清水 晃、壁谷直記、清水貴範、古堅 公、中村智恵子、寺園隆一、生沢 均
沖縄本島北部森林地域において、施業方法や施業年度の異なる森林12地点に調査サイトを設定し、林内微気象観測を実施している。これらのサイトを対象に、伐採及び自然(台風)インパクト等が林内微気象環境に及ぼす影響を把握するため、森林構造の調査を行った。各サイトの森林微気象観測ポイントを考慮して20 m×20 mの正方形調査プロットを作成し、5 m×5 mで区切った16個の小セルを作成した。小セル内の樹高1.2 m以上の立木を対象に、樹種、樹高(m)、胸高直径(cm)、枝下高(m)を計測した。また、森林微気象の日射量分布に直接関与する階層毎の被覆度(%)調査も実施した。本報は、主に皆伐施業実施後、様々な樹種が植栽された6プロット(皆伐後0年~60年経過)を対象に森林の現況について構造を取りまとめた結果を報告す

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鹿北流域試験地の森林樹冠上で測定した降水量
北村兼三
(森林総研九州)
気象庁が示す気象観測ガイドでは、雨量計は周辺に障害物が無い地表面付近に設置することとしている。森林では周辺障害物の影響から雨量計の設置に適した場所は限られる。森林における降水量を測定するために周辺障害物が無い樹冠より上に設置した雨量計の測定結果について測定値の妥当性を検討するために公的機関が近隣に設置している雨量計の観測結果と比較したのでその結果を報告する。

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平成28年熊本地震で発生した亀裂に関する調査
黒川潮
(森林総研九州)
平成28年4月14日に発生した熊本地震では、その後の4月16日に発生したM7.3の本震により大きな被害をもたらした。山地においては表層崩壊、深層崩壊、地すべり、土石流といった土砂移動現象に加え、地震時に見られる特徴的な現象として地表面に多数の亀裂が発生した。本研究では森林内に発生した亀裂について、現地調査および航空レーザー測量による調査を通じて、発生状況に関する検討を行った内容について報告する。