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クスノキとその近縁種によるしいたけ子実体発生への影響調査   
赤池 頼
 (沖縄森林資研セ)
酒井康子
 沖縄県内における生しいたけ生産は、1970年台初頭に原木生しいたけ栽培として始まった。菌床しいたけ栽培は、1990年台初頭に一部の生産者が試験的に開始したが、その後生産は途絶えていた。2007年に再び一部の生産者が試験的に菌床しいたけ栽培をはじめ、原木生産者が菌床生産者へ転向するケースが相次いだ。今日では県内のしいたけ生産は菌床しいたけのみとなっている。沖縄県森林資源研究センターにおいても「菌床しいたけ栽培の指針(伊藤 2013)」を作成し、生産者技術の向上を促してきた。しかし近年、県内において1菌床当たりの生産量が減少している。その要因の1つとして、菌床に使用するおが粉による影響があげられている。今回、しいたけの発生を阻害すると言われているクスノキとその近縁種について、イタジイに混合した場合のしいたけ菌糸伸長と子実体発生への影響を検討したので報告する。


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気候変動がシイタケ子実体の発生等へ及ぼす影響(V)
酒井倫子
 (宮崎林技セ)
 環境省、文部科学省、気象庁が共同で作成したレポートでは、現在のまま温暖化が進行すると日本の平均気温は21世紀末には約2.1℃から4℃上昇すると予測されている。さらに、温暖化は降水量にも影響を与えうるとし、宮崎大学農学部の研究報告では宮崎県内の降水量の分布は山間部で増加、平野部で減少するとの報告もあり、今後の原木シイタケ栽培への影響が懸念されている。
 そこで、既報において、平年気温から2℃あるいは4℃上昇させた高温区にほだ木(中温性品種A・低中温性品種B)を設置して子実体の収穫期間や発生量を調査した。その結果、平年気温の対照区と比べて2℃よりも4℃上昇させた高温区の方が収穫期間がより短く、発生量もより少なくなったと報告を行ったところである。
 今回は更に品種を変えて(中温性品種C・低温性品種D)、平年気温から4℃上昇させた時の子実体の収穫期間及び発生量の調査を行ったので、その結果を報告する。


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乾シイタケ原木栽培における打木処理の効果について
十時しおり
(大分きのこ)
石原宏基
飯田千恵美
 乾シイタケ原木栽培において、シイタケの発生量を増加させるために行う散水やほだ倒し等の作業を発生操作と呼ぶ。その1つに、降雨の後や散水中にほだ木を叩く打木処理"がある。生産現場では植菌1年目にほだ起こしを実施し、2年目に打木処理をすることで発生量を確保している事例がある。しかし、具体的な検証はされていないため、演者らは打木処理の効果を検証するとともに、打木方法(打木回数・打木箇所)についても検討した。結果、打木処理により発生量が増加し、打木方法の違いにより効果は異なるという結果が得られたので報告する。