201 | 過熱水蒸気処理竹粉残渣ときのこ廃菌床を混合したペレット燃料化方法の検討 |
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○高山夏音(福岡農林試資活セ),井手治,太田剛 | 過熱水蒸気(Super Heated Steam、以下SHS)処理による竹粉製造では、利用できない残渣が数%発生する。本研究では、このSHS竹粉残渣の有効活用を目的にペレット燃料化技術を開発する。これまでに演者らは、SHS竹粉残渣中のカリウムを低減できる脱カリウム処理方法を明らかにした。本報では、脱カリウム処理したSHS竹粉残渣に対するきのこ廃菌床の混合割合が、燃焼時のクリンカ形成に及ぼす影響を検討し、さらに、混合した材料の水分とペレット成型板(以下ダイス)の厚さが、ペレットの成型状況に及ぼす影響を検討した。その結果、脱カリウム処理したSHS竹粉残渣に廃菌床を乾物比で8%以上混合すると、1050℃においてクリンカが形成しないことが明らかになった。また、混合した材料を水分15%に調整し、24mm厚のダイスを使用してペレットに成型すると、崩壊もなく成型状況が良好であった。このペレットは木質ペレットと同等の高位発熱量を有することも明らかになった。 |
501 | 木本植物の柵状組織細胞の形状および葉緑体の細胞内配置 |
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○丸山祐汰(九大農),田中秀一,後藤栄治 | 我々の研究グループは、日本各地の様々な植生の林床に生育する150種以上の草本植物について、柵状組織細胞の形状および葉緑体の細胞内配置を調べ、細胞形状が光環境に適応していることを発見した。すなわち、直射日光の届かない林床にのみ生育可能な草本植物の多くは、柵状組織細胞が逆円錐形であった。逆円錐形の細胞は、微弱光を効率よく吸収するためには理想的であり、植物が弱光環境で生育するための、新たな適応現象ではないかと考えられる。その一方で、これまでの解析は草本植物が主であり、木本植物について同様の適応現象が存在するかは不明なままである。そこで本発表では、草本植物と同様の解析手法を用いて、西表島(沖縄県)と奄美大島(鹿児島県)の亜熱帯地域、および糸島と篠栗(九州大学福岡演習林)の暖温帯地域に生育する125種におよぶ木本植物について柵状組織細胞と葉緑体の細胞内配置を調べたので、その結果を報告する。 |
1101 | 自動採水器を用いた時間別降雨採水装置の開発 |
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○壁谷直記(森林総研九州支所),清水晃,黒川潮,酒井佳美,鳥山淳平,釣田竜也,小林政広,清水貴範,一柳錦平 | 山地小流域の流出過程を研究する上で安定同位体比や各種水質といったトレーサーの利用は欠かせない。とくに洪水イベント解析をする際には,降雨中の安定同位体比や各種水質は大きく時間変動するために,それらの時間変動を把握することは重要である。本研究では,河川水の採水に広く用いられている自動採水装置(ISCO)を改造し,任意の雨量トリガーで起動し,その後,設定した時間インターバルで,雨水を連続採取する装置を開発した。本機器のテストランを行い,1時間インターバルで連続採取した降雨サンプルの安定同位体比を測定したところ,洪水イベント時の降雨の酸素・水素安定同位体比には大きな時間変動がみられた。 |
1102 | 熱帯モンスーン常緑林流域における水,土砂流出機構の解明-その4- |
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○壁谷直記(森林総研九州支所),清水晃,清水貴範,飯田真一,玉井幸治,宮本麻子 | 世界では年間5.2万km2 の森林が消失しており,東南アジア諸国においても森林減少は深刻な問題である。森林伐採による土壌侵食量の増加は,河川下流の河床上昇を引き起こし,洪水氾濫のリスクを増大させる可能性がある。そこで,東南アジアで比較的豊かに森林が残っているカンボジアの熱帯モンスーン常緑林流域を対象に,土地利用の違いが水と土砂の移動特性に及ぼす影響を解明することを目的として,観測研究を実施した。本発表ではプノンペンにあるカンボジア森林局森林野生生物研究所敷地内に設置した侵食斜面プロットでの観測結果を報告する。 |
1103 | 豪雨を誘因とする斜面崩壊の生産土量についての検討 |
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○佐藤忠道(九大院生資環),執印康裕 | 斜面崩壊による生産土量を把握することは,斜面崩壊による災害の危険度の評価,林業および生態学の研究,マスムーブメントによる景観の長期的な変化の評価を行う上で非常に重要である.わが国において,崩壊土量を検討した研究としては,降雨ピークから斜面崩壊発生までの遅れ時間を用いて深層崩壊の土量を検討した八反地(2003)が挙げられる.しかし,上記の研究手法では,先行降雨の影響を取り込めない,降雨ピーク時に発生する斜面崩壊は検討できない,降雨ピークは事前に予測の困難なため警戒避難への実装が困難といった問題が生じる.これらの問題は,降雨そのものに着目することに起因しており,降雨を入力値とした地下水位の変動に着目することで解決できる可能性がある.本研究では上記の点に着目し,3段直列タンクモデルおよび遅れ時間の概念を用いて豪雨を誘因とする斜面崩壊の生産土量について簡単な検討を行ったので,ここに報告する. |